新住用川ダムでオーバーフロー現象

水があふれて滝のようになった新住用川ダム(23日、午前10時)

 

「小さなナイアガラの滝」
迫力の景色は多雨の時期のみ

 

 奄美市住用町の新住用川ダムがオーバーフロー現象を起こし、落下する湖水が巨大な滝を思わせる圧巻の光景になった。梅雨や雨の多い夏場にしか見られない現象。住用川下流付近の工事で一時ダムをせき止めたため、4日間たまった水は23日、50㍍の幅を保ちながら25㍍下へ流れ落ちた。さながら「小さなナイアガラの滝」のようだ。

 新住用川ダムは、同町三太郎峠の西方に位置し、上流は島の最高峰である湯湾岳などの山々につながる。大島電力(現・九州電力)が1959年に竣工。高さ25㍍、幅約50㍍のアーチ式コンクリートダムから、約3000㌔ワットの電力を地域に供給している。

 同町西仲間の和田美智子さんによると、雨量の多い時期にしか起きない現象で、その迫力ある景観が地域の人に言い伝えられたという。「滅多に目にすることは出来ない。2年前に孫たちと一緒に見に行った時は、自然のつくり上げた迫力の景色に、みんな喜んでいた」と話した。

 途中の山道には、二股に割れて二段に落ちるイシャゴの滝があり、さらに進むとタンギョの滝(106㍍)の全景が見える丘がある。梅雨の時期は山沿いにイジュやコンロンカの白い花が咲き、冬は下流でモズクガニなども見られるという。

 和田さんは、「道路幅は狭く舗装もされてない。そしてハブも出る危険地帯」とし、通行には十分注意するよう呼び掛けている。「行く時には必ず地元ガイドと同行してほしい」と話した。