ウクライナ情勢悪化、原油高騰懸念

来店した車に給油するガソリンスタンドのスタッフ(2月28日、奄美市名瀬)

「離島は別途対応必要」の声も 奄美も影響

 すでに全国的な原油価格の高騰に伴い、高止まりが続いていた奄美のガソリン価格だが、ロシア軍侵攻に伴うウクライナ情勢の悪化により、さらなる値上がりが予想されている。経済産業省が24日に発表した鹿児島県内のレギュラーガソリン平均小売価格(21日時点)は180・4円で、前週に比べ0・7円上昇。(株)大島石油によると、奄美市、瀬戸内町の各営業所の店頭小売格は24日から28日まで1㍑当たり平均187円で推移している。政府は1月末から、石油元売り会社に1㍑当たり5円を上限に補助金を支給しているが、今後、段階的に最大25円まで引き上げるなど、更なる対応に追われている。

 奄美市名瀬平田町にある奄美自動車学校は、教習車、送迎バスなど計47台の車両を所有。教習車への給油は、繁忙期の現在、3日に一度のペースで行われているという。総務部の美島光秀(あきひで)さんは「特にここまで運営に支障はなく、教習料値上げなどの具体的な対応は検討していない。しかし、今後の運営を考えると、事業所への助成金などの対応があってもよいのでは」と話す。また、「個人的には、離島向けの補助金が別途あってもよいと思う」と語った。

 政府は、ガソリン1㍑の小売価格のうち53・8円が掛けられるガソリン税から、25・1円の上乗せ課税を免除する「トリガー条項」の凍結解除を検討している。しかし、解除には法改正が必要な上、国の財源となる軽油引取税だけでなく、地方自治体の財源である地方揮発油税が減収になるなど課題は多い。

 もともと輸送費や備蓄管理のコストがかさむため、本土と比べ割高にならざる得ない奄美群島のガソリン価格。奄美をはじめとした離島に対する、更なる施策が求められている。