奄美医療圏調整会議

委員26人が議論した奄美保健医療圏地域医療構想調整会議

徳之島徳洲会病院、県立大島病院持ち越し
病床数増床 喜界、沖永良部は了承

奄美保健医療圏の病床機能分化と連携推進について議論する「第9回地域医療構想調整会議」(議長・向井奉文大島郡医師会会長)が2日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。喜界徳洲会病院、沖永良部徳洲会病院の増床を条件付きで了承。51床の増床を要望する徳之島徳洲会病院、休棟中病棟から37床の新設を求める県立大島病院については、結論を次回以降に持ち越した。

委員は圏域内の病院関係者や12市町村首長、県大島支庁などで構成。会議は、国が掲げる「地域医療構想」に基づき、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて地域の実情に合った病床数を機能別に調整するもので、委員らは医療ニーズの推計から、慢性期病床の患者を在宅や介護施設に転換を図ることなどで、病床数の削減を進めている。

喜界徳洲会病院は10床(計99床)、沖永良部徳洲会病院は20床(計132床)、島内で病床数の調整を図ることを条件に増床を了承した。

徳之島徳洲会病院は、高岡秀規徳之島町長、森田弘光天城町長、大久保明伊仙町長が「徳之島の一般病床の稼働率は(現在)94%で、100%を超えることもありひっ迫している」「首長には島内で医療を完結し、町民の安心安全を守る責任がある」として増床を求めた。だが協議会や県側は「作業部会などを通して地域で議論を尽くすのが調整会議の主旨」「医療機能の強化は歓迎だが、病床数の必要性はわけて考えるべき」と議論は平行線。結論を持ち越した。

県立大島病院は、石神純也院長が「急性期患者のリハビリが手厚くできていない」「回復期を民間で担えるというエビデンスが出ていない」として、休棟中病床を再稼働し回復期37床を新設するよう求めた。県は「大島だけ一存で決めるのは難い、(本土を含めた)県立病院全体の意見を聞いてみたい」として、県立病院の見解を踏まえた上で判断していくことと決めた。

なお、病床移管の意思を示していた笠利病院、伊仙クリニックは変更を取り下げ、それぞれ89床、19床を維持するとした。