県はこのほど、南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火により津波警報および注意報が発令された県内39市町村を対象に行った災害対応に関するアンケート調査結果を公表した。津波が確認された奄美市などでは16日未明の避難時、多くの市民が車で避難、高台などを目指し車両により市内各地で渋滞となったが、アンケート結果でも、県内18自治体(46%)が「車での避難者があった」と回答、県民の多くが避難時に徒歩ではなく、車を利用したことが分かった。「無し」は8自治体(21%)のみで、把握できていないも13自治体(33%)あった。
アンケートは、▽津波の避難方法や避難場所などの住民への周知方法▽津波避難ビルの指定▽海抜表示の有無▽避難情報の伝達方法▽個別避難計画に基づく避難対応▽避難所での新型コロナ対策―など11項目について質問。
車での避難者がいたと回答した18自治体のうち、「渋滞の発生」があったと回答したのは4自治体(10%)で、11自治体(28%)は「問題なかった」と回答。「駐車場不足」との回答も1自治体あった。
津波の際の避難方法については、県内の約8割近い自治体が徒歩での避難を推奨しているとの調べがある一方、実際の避難時には車を使用する傾向があることが分かった。
1・34㍍の津波が確認された奄美市では、市内の高台などに通じる道路5カ所で渋滞が発生したことが、同市の調査などで分かっている。市などによると、「高台に続く道路の途中で、路肩に駐車する車両が相次いだため、高台に十分な駐車スペースがあったにも関わらず、行き先を失った後続車が渋滞することになった」とする分析もあり、市は今後、高台での駐車スペースの確保なども含め、津波避難時の避難方法などを検討する方針だ。
このほかアンケートでは、住民への周知方法(複数回答可)は「チラシ、ハザードマップなどの配布」が最も多い35自治体(90%)で、次いでホームページ30自治体(77%)、地域での説明会15自治体(38%)などとなっている。
避難ビルの指定は、29自治体(74%)が未指定で、指定しているのは10自治体(26%)のみ。電柱などへの海抜表記は38自治体(97%)が「表示している」と回答、未表示は1自治体のみだった。
住民への伝達方法では、防災行政無線(屋外放送)が28自治体(72%)で最も多く、個別受信機を使ったケースも25自治体(64%)あった。このほかにも広報車などによる呼び掛け、防災メール・アプリ、自治体のHP(いずれも11自治体)などもあった。
指定避難所への避難については、「無し」が23自治体(59%)、「把握できていない」も9自治体(23%)あり、「有り」は7自治体(18%)だけだった。
個別避難計画に基づく対応では、「把握できていない」が21自治体(54%)で半数以上にのぼった。