防災ラジオ50台導入

難聴地域などで試験運用 災害情報の伝達強化図る 奄美市

 奄美市は新年度、災害情報伝達の強化を目的に、防災行政無線の緊急情報を受信できる防災ラジオ50台を導入する方針で、新年度予算に購入費50万円を計上している。防災行政無線の難聴地域などを対象に配備、試験運用し、防災力の向上などへの効果を確認、今後の追加導入なども検討することにしている。

 1月に奄美などを襲った津波では、深夜の発生ということもあり、防災行政無線の難聴者地域などで、津波警報を伝える防災行政無線に気付かず、避難できなかった市民もいたという。こうした状況から、地域防災力の向上を目指すことにしており、安田市長は、市議会の施政方針演説で、「災害情報の伝達強化のため、新たに防災ラジオの導入を進める」方針を示した。

 市総務課危機管理室によると、市内で避難指示などの防災情報を伝達する場合、防災行政無線での放送などを行っており、電波状況などによる放送が聞こえない難聴地域では、屋内に戸別受信機を設置することで、防災情報などを受信できるようにしている。

 しかし、2015年以降、約1000台を導入した受信機は耐用年数とされる5年を経過、近年は故障などで使えないものも増えているという。

 受信機は1台10万円以上し、修理に5万円近くかかるケースもあるという。このため、市は受信機の更新は行わず、新たな伝達機器として1台1万円程度と戸別受信機より安価な防災ラジオを導入することにした。購入費の50万円は、ふるさと納税による寄付金を充てる。

 50台の設置場所などについては、今後、難聴地域や防災無線以外に災害情報の入手方法がない世帯などを優先、地域性などを考慮しながら市が決定する。危機管理室の奥伸太郎室長は「スマートフォンやインターネットなど災害情報を得るツールも増えている。市民には様々な方法で情報入手してもらいたい」とした上で、「災害発生時に情報弱者をつくらないよう、災害情報の伝達強化に努めていきたい」としている。