来賓らが見守る中、観閲式で行進する隊員ら
対艦、情報活動、火力、近接戦闘の4部で披露された(写真は火力戦闘)
奄美市名瀬大熊の陸上自衛隊奄美駐屯地で6日、陸上自衛隊奄美警備隊創隊、同駐屯地・瀬戸内分屯地開設の3周年を記念する行事「観閲式」が開かれた。地元関係者や首長、議員ら来賓約70人が見守る中、隊員らが行進し、模擬訓練などを披露。訓示した日髙正暁奄美警備隊長兼奄美駐屯地司令は隊員を前に「世界の情勢は一変している。我々は崇高な使命を認識し、皆さまの期待と信頼に確実に応えるよう職務を果たしていかなければならない」と求めた。
日髙隊長は式で、日本周辺で挑発を繰り返す中国や北朝鮮、ウクライナに侵攻するロシアなどを念頭に「一言でいえば強要と抑止の対立構造。国際社会で現状変更を試みる権威主義国家と、法の支配に基づく民主主義国家が分断し、対立している」と強調。奄美群島の復帰記念に言及した上で「隊員諸君はこの美しい奄美群島が一時的にでも他国の軍政下に置かれたことを忘れてはいけない。不測の事態、いかなる過酷な状況下でもこの奄美を守り抜くという覚悟が求められている」と訴えた。
安田壮平奄美市長は祝辞で「世界情勢の急変は対岸の火事ではない。国家の重要な任務、(隊員の)環境づくりなど支えていきたい」と話した。鎌田愛人瀬戸内町長は「昼夜を問わない任務に敬意を表する。抑止力の強化は大事。国の安全、世界平和のために使命を果たすことを願う」と述べた。
駐屯地のグラウンド内では、奄美、瀬戸内の両隊員約190人、装備車両約30台に加え、開設60周年の海上自衛隊奄美基地分遣隊員20人が行進した。式後は、成人行事が行われ、敵艦の接近や上陸を想定した対艦、火力、近接戦闘などの模擬訓練が披露。そつのない隊員の動きに見入った。
同隊は、南西諸島の防衛体制の強化を目的に2019年3月に開設。奄美駐屯地には、中距離地対空誘導ミサイル(中SAM)部隊など約360人、瀬戸内分屯地には地対艦誘導ミサイル(SSM)部隊など約210人が常駐。今年度中には、電磁波で通信やレーダーに関する情報を収集したり、軍事行動を妨害したりする「電子戦部隊」の配備も予定している。