鹿大島嶼研 奄美の教育拠点形成シンポ

公開シンポジウムで奄美の自然の普遍的価値が報告された

文化・社会・産業など「融合モデル」構築を
「生物と文化の多様性保全」

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センターと同大学法文学部は6日、「世界自然遺産の奄美におけるグローカル教育拠点形成」プログラムの公開シンポジウムをオンラインZoomで開いた。同大島嶼研の河合渓センター長は、「生物と文化の多様性保全」を進めるため、奄美群島を中心とした文化・社会・産業などの「融合モデル」の構築を図るとした。

 同シンポジウムは、世界自然遺産に登録された奄美の持続的発展について、同大島嶼研が進めてきた教育研究プログラムの2年間の成果報告と、今後の計画を提案し協議するのが目的。環境省や関係機関など約70人がオンラインで参加した。

 同大島嶼研の鈴木英治さんは、2年間のプロジェクトの成果を報告。奄美の在来植物と外来植物の分布の調査結果から、「絶滅危惧種指定」の再検討の必要性を提言。また、アマミノクロウサギとヒトとの共存に向けて、県、環境省、奄美・徳之島の市町村などと連携し「被害対策マニュアル」を発行した。

 新年度の取り組みについて河合センター長は、①世界自然遺産・奄美群島でのフィールド調査を基にした文理融合研究②海洋を主対象にしたビックデータを活用するAIモデル、予測モデルの構築③「革新的融合モデル」構築と実践及び課題解決、人材育成と研究成果発信―の3点を挙げた。

 22~27年の6年間を第4期と位置づけ、可合センター長は「奄美群島を中心とした生物文化の保全と、地方再生の革新的融合モデル構築を、国内外の大学や関係機関と協力して体制構築したい」と新年度以降の展開を述べた。