美術展の意義などを語る宮崎緑さん
「立神の上三分の一をカットした」などと解説する青木薫さん
【東京】「渋谷で奄美を感じて!」。渋谷区のホテルで「第20回奄美を描く美術展」(主催・奄美を描く美術展実行委員会、後援・奄美新聞社ほか)の巡回展が6日から始まった。同日関係者が出席し、オープニングセレモニーが開催された。奄美を作品から実感できる巡回展は10日まで。
巡回展は、渋谷エクセルホテル東急(渋谷駅直通=渋谷区道玄坂1―12―2)6階のウッドルームで行われている。今回の美術展には、奄美、鹿児島県内のほか、日本各地から16歳から85歳の72人の男女から97作品が寄せられた。
式典では、奄美パーク園長で田中一村記念美術館館長の宮崎緑さんがあいさつ。「20回を迎え、美術展は登竜門的な存在になった。今後は新しい才能も発掘していきたい」と開催の意義を笑顔で語った。
奄美の豊かな自然や生活風景が描かれた力作の中から、大賞に輝いたのは青木薫さんの「節田立神」(油彩)。生きているような岩が、さまざまな想像を見る側にさせる。青木さんは、新潟県から瀬戸内町伊須に移住して10年、イラストレーターとしても活躍している。「巨大で荘厳な立神を15号の小ささで、どう表現するか悩んだ。奄美の自然の力を少しでも感じてくれたらうれしい」。苦闘を振り返る作者の説明に、来場者はあらためてその色彩に見入っていた。
審査委員長の中島千波さん(東京藝術大学名誉教授)が厳しく審査。「レベルが高い作品展」とコメントを寄せる同巡回展には、選りすぐりの秀作23点が展示されている。
「祝世界自然遺産登録」との副題も付いた「奄美を描く美術展巡回展」の会期は10日まで(観覧無料)。開場時間は午前9時30分~午後6時30分まで(最終日は正午)。