児童考案の紬図案、製品に

実際にできた製品を前に義岡くん(中央)と夢おりの郷で

織元・夢おりの郷が実現
義岡くん(赤徳小)ご対面

児童が考案した大島紬柄の図案が、オリジナルの紬製品として完成した。図案をデザインしたのは龍郷町の赤徳小学校5年生の義岡誠也くんで、同町の本場奄美大島紬織元・(株)夢おりの郷(南晋吾代表取締役)が反物や着物に仕立てた。8日、同社で製品化された大島紬と対面した義岡くんは「かっこいい着物に生まれ変わってうれしい」と喜んだ。

同図案は、奄美群島地域産業振興基金協会が主催する「第33回本場奄美大島紬原図コンテスト」の入賞作品。同小では昨年、当時4年生だった児童らが郷土発見学習の一環で図案のデザインに挑戦。同校から22点の応募があり、丸や三角、四角の図形をパステル調などの明るい色で描いた義岡くんの作品が、小学生初の入賞に輝いていた。

製品化には「オール龍郷で」との思いから、夢おりの郷が手を上げた。同社の南祐和会長は「基本的な図形を使うという発想はなかった。ハッとさせられた」と作品の斬新さに驚いたという。

製作には、色を立たせ、図形を小さくまとめるため白大島・9マルキを採用した。昨年3月から構想を始め、南会長が約3カ月かけて設計図を作成。織りは同社織り職人の徳永エミコさんが手掛け、11月までに反物2種類を織り上げ、艶やかな着物に仕立てた。

南会長は「我々はどうしても泥大島を目指すが、(明るい製品は)並べると目を引く。(PRへの)呼び水としても面白い」と話す。徳永さんは「図形と余白の境目を織る際は大変だったが、イメージ通りできた」と納得の様子だった。

「これまで見たことのない三角や四角の紬を」とデザインした義岡くんはこの日、担任の本田明美教諭と来社した。夢が叶った紬との対面に「大変そうだけど、うれしい」と職人らへ感謝。「(前にも増して)大島紬に興味が出てきた。もっと勉強したり、今度は着物も着てみたい」と笑顔で話した。

製品は今後、夢おりの郷を通じて販売される。同社は義岡くんの原図にインスピレーションを得た新たな次回作も構想中だという。