花徳・里久浜に宿泊施設進出へ

企業誘致認定を報告した高岡秀規徳之島町長と須永珠代氏(有徳合同会社代表社員、㈱トラストバンク会長)=14日、徳之島町役場


簡易宿泊施設の完成予想図(有徳合同会社)

風光明媚な徳之島町花徳「里久浜(りくばま)海岸」

徳之島町―㈱トラストバンク関連
企業誘致認定

 【徳之島】ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画運営する㈱トラストバンクの会長で創業者の須永珠代氏が代表社員を務める「有徳合同会社」(本社・群馬県伊勢崎市)と徳之島町(高岡秀規町長)間の「企業誘致認定報告式」が14日、同町であった。同町花徳「里久浜(りくばま)海岸」に同社が別荘風の簡易宿泊所5棟を年内に建設、来年早々の開業を目指す。

 日本全国1788自治体の情報を掲載している㈱トラストバンク(本社・東京都目黒区)は、須永氏が「自立した持続可能な地域づくり」を目的に2012年4月設立。地域活性化を目指す取り組みではふるさと納税を通じ、離島徳之島の同町との関りも深い。

 一方、宿泊施設の少ない同町北部地区からは世界自然遺産登録を契機とした「自然保護センター(仮称)」(花徳地区)設置計画にも連動させた宿泊業関連の誘致を望む声が高まっていた。

 そうした中、ふるさと納税を活用する有徳合同会社による「簡易宿泊所」構想に、地元町側は「町北部地区のさらなる発展につながる」など期待。新型コロナウイルス感染症対策のため2月にオンライン調印式を行い、建設工事は既に着工。今回あらためて須永氏を迎え「報告式」を開いた。

 町当局や同社によると建設地は「里久浜海岸」(現モクマオウ防潮林)の町有地約7971・8平方㍍(3年間無視用貸与)。宿泊施設は平屋建て計5棟計491・5平方㍍。コンセプトは「①窓越しに太平洋を一望できる贅沢空間②一人でも家族・友人同士でもゆったりくつろげる広さ③調理スペースやサウナ、一部部屋には屋外プールも完備④長期滞在型など」。設計・デザインは建築家山中祐一氏(東京都)が手掛けた。

 報告式のあいさつで高岡町長は「ふるさと納税の運営の仕方、各自治体とのかかわり方の理念が素晴らしい。単なるビジネスではなく、地域を育てようという理念にも感銘を受けた。徳之島の子どもたちの体験や交流人口の拡大にも」と期待。

 須永代表は「ビジョンの策定には地域経済循環の考えが非常に重要。離島は観光・宿泊分野が一番お金を落とせる、観光客を呼ぶことが大事。利益重視の企業はやってこないと思うが、経済循環の成果をちゃんと数字に示せる取り組みがしたい」。ふるさと納税を通じて「直接的な徳之島の収入。雇用も含め、地域内でどれだけお金を落とせるか、完全な実験。利益は出ないかもしれないが、より良い関係人口・交流人口の拡大に寄与したい」とも抱負を述べた。

 地元業者が今年12月までに完成させ、年明けのオープンを目指すという。