ノヤギ確認、7年で1・3倍

環境省や市町村担当者などが参加したノヤギの「生息状況報告会」

県が生息状況報告会 21年度642頭「効率的な捕獲」課題

県自然保護課主催の「外来生物(ノヤギ)の生息状況報告会」が15日、奄美市名瀬の奄美会館であった。2021年度の海上(沿岸部)調査では前回7年前と比べ約1・3倍(165頭)増の642頭のノヤギを確認。報告した担当者は「ノヤギは過年度より増え、世界自然遺産の核心部や森林部にも分布は広がっている。(狩猟など)効率的な捕獲はできるのかどうか、検討していかなければならない」と訴えた。

ノヤギの多くはもともと海岸部に生息。奄美大島では以前から野生化したノヤギが増殖しているとの話があり、08年と14年に調査。内陸部への拡大がわかったほか、近年は世界自然遺産登録地域でも確認されるなど、希少植物への影響も懸念されている。

過去の海上調査では、08年に419頭、14年に477頭が確認されていた。調査は一般財団法人県環境技術協会に委託。今年度は奄美大島8カ所での海上調査を継続し、センサーカメラでの撮影、ドローンを使った調査などに取り組んできた。

報告によると、最も確認が多かったのは請島―与路島間の189頭(前回調査127頭)。山間―古仁屋間173頭(同113頭)、加計呂麻島102頭(同93頭)、大棚―屋鈍間100頭(同53頭)と続いた。報告した同環境生物課の稲留陽尉さんは、▽定期的なモニタリング調査▽推定生息数の算出▽生息状況の指標づくり―などを課題に挙げ、「調査は毎回一度きりのもの。動態を把握するためには定期的な調査実施が望ましい」と訴えた。

会では東京都小笠原諸島の事例も報告。質疑では、森林部での捕獲問題、個体数の減少に向けた特例設置などが議題に上がり、環境省からは「捕獲技術の継承ではなく、新しい捕獲技術の考案も必要ではないか」といった提言もあった。