メモ (しばた・こうじ)1957(昭和32)年8月16日、奄美大島(加計呂麻島芝)生まれ。薩川小、住用小、住用中、県立甲南高を経て82年東京外国語大学外国語学部卒業。同年、全日本空輸㈱入社。ロンドン支店長、ANAホールディング㈱執行役員アジア戦略部長などを経て代表取締役社長へ。
奄美大島出身の芝田浩二さんが、ANAグループの代表取締役社長に4月1日に就任する。豊かな自然の元で育った芝田さんが、同社をどう羽ばたかせるかが注目される。「世界を見てきた」立場から子どもたちへの思いなどを聞いた。
奄美で育ったことが、どう反映されていますか。
「知らず知らずのうちに他人と接する素養を島の子どもたちは持っている。集落ごとに方言や文化も異なるシマは文字通り小さな国で、運動会はオリンピックです。そうした環境が、私が世界へ目を向ける背景にあった。廃校を利用した外国人との交流など、子どもたちを世界へ羽ばたかせる後押しが、大人の責任。環境が人を育てますから」
奄美へのLCC就航に尽力されましたが、徳之島空港への実現性を教えてください。
「地元から就航してほしいとの声は、今のところ私の耳には入っておりません。一定の需要がないと困るので、徳之島の人口などを考えると難しいでしょう。まずは、奄美空港をハブ化すること。そこを拠点にして、上手に使っていくことでしょうか」
ハンデを抱える、大島高校がセンバツ甲子園出場を果たしましたが…。
「私は大高出身ではありませんが、2014年初出場した際は日帰りで駆け付けて応援させていただきました。途中まで勝つんじゃないかと見ておりましたが、さすが相手は名門でしたね。象徴的だったのが本塁で再三憤死したシーン。『島なら、鹿児島ならセーフなのに…』と、これまでと違う次元を見た。『井の中の蛙』を体験したはず。ですから、今回は勝つために何をすべきかを知って、歩みを進めてきたと思うのです。(全国レベルの)世界を知った彼らに、大いに期待しております。大舞台で羽ばたいてほしいですね」
待望の世界自然遺産登録となりましたが、経営者として、どう取り組みますか。
「世界自然遺産登録を、ビジネスに利用する気持ちはありません。次の世代に大切に残していくのが我々の役割だと考えているからです。ANAグループが、そのサポートをするのが正しい姿だと思っております」
(聞き手・東京支局 高田賢一)