嘉徳集落・護岸工事着工後初の話し合い

護岸工事着工後初の話し合いは約2時間に及んだ

原告弁護団代表、地元住民が参加「現状は伝えられた」

県が瀬戸内町の嘉徳海岸の「侵食対策事業」として計画する護岸建設工事に関し18日、嘉徳集落の住民らと嘉徳浜弁護団とによる話し合いが、嘉徳集落にある同集落集会所(旧嘉徳小学校跡)で行われた。地元住民を中心とする同集落関係者18人と弁護団の代表1人が参加。同工事の早期着工を求める住民と、公金差し止め訴訟を起こしている原告弁護団による初めての話し合いとなり、地元住民は改めて、同集落の財産や住民の生命を守る同工事の必要性を伝えた。

嘉徳海岸は2014年の台風で砂浜が大きく浸食。畑や小屋など民有地約1700平方㍍が流失し、地元住民らが護岸対策を県や町に要望。県は18年に180㍍のコンクリート護岸を計画した。

原告弁護団を代表し参加した和田知彦弁護士のあいさつから始まった話し合いは、同集落住民の意見、要望を同弁護団に伝える形で進行。工事に至る経緯説明とともに集落の現状が報告された。

現状報告の一つに、嘉徳海岸の浸食による不安定となった墓所地を守るため、台風接近の都度、墓から遺骨を取り出し、安全な場所へ移していることを挙げた。そして、護岸計画決定から約6年経過していることを踏まえ、住民にとって心労が伴う重労働となっていることが伝えられた。また、護岸整備工事は保留状態にあるなか、台風、水害などで集落住民に被害が及んだ場合、「(同弁護団、工事反対派側に)保障や責任を求めることが出来るのか」という意見が出された。

参加住民の一人は「自然を守ることも理解しているが、集落住民が望むことは生命、先祖の墓などを守る護岸工事が早期着工すること。しかし、今日の話し合いで、改めて現状を伝えることが出来たのは良かったと思う」と語った。

和田弁護士は「話し合いの場を設けていただき、住民の方の話が聞けて良かった。双方の関係性づくりになったはず。今後も話し合いとともに、(護岸工事に関する)弁護団側が調査したことも住民の方に伝えられれば」と話した。