関係団体や町職員25人が耳を傾けた「奄美環境文化事業プロジェクト事業シンポジウム」
持続可能な循環型社会の形成に向けて、奄美群島のこれからの地域戦略を考える「奄美環境文化事業プロジェクト事業シンポジウム」(県大島支庁主催)が17日、喜界町の役場多目的ホールであった。一般社団法人持続可能な地域社会総合研究所の所長・藤山浩さんが「持続可能な地域戦略~時代の流れを知り、人口・経済から地域を診断する」と題し基調講演。関係団体や町職員ら25人は、地域の人口動態や地元関係図を突破口に、地域の循環型社会形成への必要性と可能性を考えた。
藤山さんの基調講演に加え、鹿児島大学の小栗有子さんとオーガニックアイランド喜界島代表理事の杉俣紘二朗さんが島での活動事例を報告。登壇した藤山さんは「プランよりまずは診断が大事。地域の人口増減や地元関係図の把握がなければ、その地域からは何も生み出せない」と切り出した。
藤山さんは、人口が増加に転じている島根県知夫村や岡山県西粟倉村などの先進事例を紹介。人口約6千人の喜界町が将来も安定を求める場合は、年間24組56人の定住(人口比0・8%)が必要だとの試算を紹介した上で、「定住実現は地域の総力戦。集落、地元の特長を踏まえた上で、仕組みをどう作るのか、どう作り変えていくのかが問われている」と訴えた。
地域経済の循環に向けては「地元で仕入れ、地元産を利用することが大事だ」と地産地消を提案。自動車やソーラーのシェアリング、自家発電など、地域循環への転換事例を挙げた上で、「10年20年取り組むことで利回りは生まれる。未来の子どもたちのために今のベテラン世代から始めてほしい」などと呼び掛けた。
会では3人によるパネルディスカッション、質疑なども実施。19日は与論町役場、29日は和泊町ゆいホールでも予定している。