野鳥の会オオトラツグミ一斉調査

オオトラツグミのさえずりに耳を澄ます調査員

 

 

さえずり数過去最多107羽
「個体数は確実に回復」

 

 

 NPO法人奄美野鳥の会(鳥飼久裕会長)は20日早朝、奄美中央林道などで奄美大島固有種・国の天然記念物のオオトラツグミの一斉調査を行った。

 島内外からボランティア調査員143人が参加。同林道で確認されたさえずり数は107羽で調査開始(1994年)以降最多となった。

 オオトラツグミは環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定され、近年は個体数は増加傾向にあるが詳しい生態は不明の野鳥。生息状況の確認と保護に向けて1994年から毎年、繁殖期の3月ごろに一斉調査を行っている。今年で29回目。オオトラツグミが夜明け前に鳴く習性を生かし、さえずり数を調査する。

 今回は島内102人、島外41人(大学生34人・一般7人)の計143人が参加。奄美中央林道(約42㌔)では2、3人が一組となり、早朝5時半~6時半の間に鳴き声に耳を澄ましながら往復4㌔を歩いた。道中「キュロロ」というさえずりが聴こえたら、その地点・方角・時刻などを記録する。

 神奈川県から参加した長谷川裕花さん(23)は、5時58分にさえずりを確認。「鳴き声の判別が難しい。オオトラツグミ以外にもたくさんの野鳥のさえずりを聴けた。この調査が生態保護や保全につんがってくれれば」と話した。

 奄美中央林道で確認された107羽は前年度比9羽増。16年の106羽を超えて過去最多となった。同会の鳥飼会長は、「天候にも恵まれ、かなり正確な調査ができた。個体数は確実に回復している」とし、「今後は分布の広がりに期待する。今は中央部から南部に集中しているが、生息の少ない北部への分布拡大につながってほしい」と総括した。

 この日は他にも、▽スタルマタ林道27羽▽住用ダム線13羽▽油井岳林道23羽―のさえずりを確認。また21日に北部(龍郷・笠利)、27日に大和村で補足調査が行われる。