ロードキル「科学的に対策を」

オンラインで開催された世界自然遺産地域科学委員会

世界自然遺産地域科学委
遺産委課題、対応へ協議

 奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島の「世界自然遺産地域科学委員会」の2021年度第2回会合が24日、オンラインであった。14人の委員ら関係者約60人が出席し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が示した課題4項目への対応で協議。急増する国の天然記念物・アマミノクロウサギのロードキル対策について、委員からは「エビデンス(証拠)に基づいた評価で的確に分析し、科学的に対策を図るべき」といった要望が上がった。

 世界遺産登録に伴い世界遺産委員会が示した課題は、アマミノクロウサギなど絶滅危惧種のロードキル対策を含む、観光管理、河川再生、森林管理の4項目。12月1日までにユネスコへの報告を要請。会合では要請事項への対応状況が紹介され、モニタリング調査結果などが公表された。

 委員らは、事務局が作成したレポート案を基に協議した。ロードキル対応では、奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島の島ごとに発生状況や対策を記載し紹介。委員からは「ハード中心でソフト面の対策が少ない」「他の種にも適用できるルールで示すべき」といった意見があり、特に事故件数の検証・分析については「ドライバーなどの要因が特定できてない」「幼獣か成体かわからない」「生活道路と林道では対策が異なる」など、幅広い調査データによる対策を盛り込むよう求める声も相次いだ。

 モニタリング調査(20年度)では、遺産価値維持の成否を対象に20指標で調査し公表した。一定の悪影響が認められる「B」評価は4項目。奄美大島・徳之島では固有種などの「交通事故の発生状況」、侵略的外来種「飼い猫の数」の指標などで、悪影響の恐れがあると評価された。

 次回会合は9月ごろを予定している。