コーヒー園を視察し農作業も体験した浜松湖東高の生徒ら=24日、伊仙町
【徳之島】静岡県立浜松湖東高校(浜松市西区)の2年生10人が23、24日の日程で徳之島・伊仙町にあるコーヒー園を訪れ、コーヒー豆の収穫や木の手入れなど農作業を体験した。グローバル視点では「フェアトレード」が問われてきた代表的品目のコーヒー。生産者たちと交流しながら希少価値の高い国産コーヒーに関心を寄せ、国際的課題を重ね考えるきっかけにした。
浜松湖東高(普通科・生徒数819人)は、生徒たちの国際性を高める諸国際交流事業を積極推進する県の「グローバルハイスクール」指定校。浜松市は外国人労働者も多く2017年には「フェアトレードタウン」にも認定。その環境下、同校生らの探究プロジェクトの一つに公正公平な貿易取引を考える「フェアトレード」班がある。
生徒たちの作業体験を受け入れたのは、コーヒー飲料大手の味の素AGF(東京都)の「実証農場」(伊仙町内)の管理にも17年から協力している徳之島コーヒー生産者会(吉玉誠一会長、32人)。吉玉会長ら生産者たちの手ほどきで、23日はコーヒー豆の手摘み作業、24日は無農薬栽培されるコーヒーの若木への堆肥散布など作業も体験した。
ペアで堆肥(鶏糞)の散布に励んだウエルタ・ナタリさん(17)とミナミ・アユミ(17)は「探究に関しては「フェアトレードに興味があり、日本にもあったコーヒー生産地に関心が。豆を摘む作業も思った以上に大変だった」。松野太一さん(17)は「生産者の方々は試行錯誤しながら、栽培環境や気候も研究していると思った」。
引率した同探究班リーダーの江間節子教諭(43)は「生徒たちにとってコロナ禍は、外での実体験など学ぶ機会や心の成長も奪われがち。心の温かい方ばかりで、やさしく迎え入れてくれたことに感謝します」。
コーヒー栽培歴約40年の吉玉会長は「島外の高校生の視察・体験は初めて。浜松市は日系ブラジル人が多く、コーヒーのほかタピオカ(キャッサバ)の出荷先としても親しみ深いまち。徳之島コーヒーに関心を抱いてわざわざ来島いただきうれしい」と目を細めていた。