固有種・タツナミソウ

55人が参加し調査結果に耳を傾けた「ヒメタツナミソウ観察報告会」

「人の手」で自生など成果
松原さんが観察報告会 喜界町

 環境省のレッドデータブックで絶滅危惧ⅠB類などに指定されるシソ科の多年草で喜界島の固有種「ヒメタツナミソウ」の観察報告会(同町教育委員会主催)が27日、同町役場多目的室であった。同委事務局文化財保護チーム主査の松原信之さんを講師に調査内容が報告。町民ら55人の参加者は、「人の手が適度に加わった場所で自生する」といった新たな成果の発表に耳を傾けた。

 調査は2019年4月から3年間。保護を目的に松原さんが計画的に観察、データを分析しまとめてきた。

 ヒメタツナミソウは、隆起サンゴ礁の岩場や湿った草地に自生する町天然記念物。20年には国内希少野生動植物種にも指定。葉の長さは5~9㍉で、花は白色または淡紫色。4~5月にかけて房状の花を咲かせる。松原さんによると、町内の滝川や島中、百之台や伊実久など15カ所で確認。除草剤の影響などで一時は絶滅も危惧されたが、近年は回復傾向にあるという。

 報告会で松原さんは「雑草が覆うと簡単に消滅する植物。自生地はほとんどが共有地で、定期的な草刈りなど、集落や人々とつながることでヒメタツナミソウは守られてきた」と今回の調査でわかったことを紹介。研究史や成長サイクル、除草剤の影響などにも目を向けつつ、「〝知らなかった〟ことで自生地が減っていった。喜界島唯一の固有種。まずはみんなが知ることで島の宝を大切に守ってほしい」などと呼び掛けた。

 会では、環境省奄美群島国立公園管理事務所の後藤雅文離島希少種保全専門官による「希少野生動植物の保全について」と題する講話もあった。