女声合唱団「ラ・メール」が卒団式

卒団式で記念写真に収まるラ・メールの団員たち


最後の合唱で指揮を振るう主宰者の築島さん

33年間の歴史に幕
最後の歌声に歩み刻む

 長年の活動に終止符――。奄美大島の女声合唱団「ラ・メール」(築島成子主宰)の卒団式が29日、奄美市名瀬のカトリック名瀬聖心教会内カトリックセンターであった。団員らは、築島さんの指揮の下で最後の曲を合唱。別れを惜しみつつも互いの出会いに感謝し、33年間の歴史に幕を下ろした。

 合唱団は1989年に「高齢化社会を見据えて、歌を通して地域づくりをしたい」と公民館講座を引き継ぎ発足。築島さん指導のもと完成度の高い調和の取れた歌声で、シマ唄や民謡、わらべ歌などを地域に届けてきた。

 団員は48~90歳までの20人で、その選曲から「島の心を歌うウナリ神たち」とも呼ばれた。定期演奏会「感謝の夕べ」や奄美群島の日本復帰50周年記念式典などの島内イベントに加え、2000年には台湾公演、07年にはかごしま夢舞台にも参加するなど大舞台も経験。18年には30周年を記念するCD「未来へ紡ぐ詩の心」も制作した。

 メンバーによると、近年は高齢化などの影響で50人いたメンバーも20人に減少。コロナ禍の中、21年3月の「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」を最後に発表の機会も途絶えており、「区切りをつけなければ」と決断に至ったという。

 卒団式は、すべてが詰まった原点に返り練習場の同センターで開催。団員一人ひとりに感謝状が手渡され、別れの言葉が送られた。

 築島さんは「本当に33年も経ったのか。一人ひとりが心優しく、心熱くなければここまでは続かなかった。こんな素晴らしい女性たちはいない」と団員に感謝。「これからもラ・メールで培った力を発揮し、素敵な奄美にしてほしい」と激励した。

 団員らも「先生は永遠の憧れ」「解散してもラ・メールの絆はこれからも続く」などとお礼の言葉。最後は「奄美わがふるさと」「慕情」など、思い入れの強い4曲を歌い上げて33年の歩みを心に刻んだ。