晴天に映えるタイワンヤマツツジ

晴天に映える「タイワンヤマツツジ」。根瀬部地区の自生地は貴重な群生が残っている

根瀬部地区の自生地
群島唯一の群生残る

奄美地方はこのところ晴天が続いているが、奄美市名瀬の根瀬部地区に自生する「タイワンヤマツツジ」も日差し浴びて開花の色彩が鮮やかさを増すなど映えている。奄美群島で唯一、群生が残されている場所で、奄美市指定文化財(天然記念物)だ。

市教委が自生地の入口に設置している看板によると、タイワンヤマツツジは、奄美大島以南のいくつかの島々に分布し、平地から山地の日当たりがよい斜面地などに生育するツツジ科の低木。奄美大島に数多く自生するケラマツツジよりも、葉と花が一回り小さいのが特徴。開花時期は2~4月ごろで、一斉に赤い花を咲かせるが、街路樹などとして植栽されている園芸種に比べ花の色は淡い。

根瀬部集落(大海昌平区長)では自生の環境を保つため、年に一回草刈り作業を行っている。例年、開花前の1~2月にしているが、今年は雨天が多かったため延期が続き、約25人が参加して作業ができたのは3月下旬の日曜日。大海区長は「開花の見頃を過ぎていたが、今年も作業ができた。草刈りや樹木の枝処理などをすることで日当たりが良くなり、眼下に東シナ海が広がる景色も見渡せる。ぜひ、多くの人が足を運んでほしい」と呼びかける。現在は旧県道沿いになったことから、場所がわかるよう宮古崎トンネルの根瀬部側入口に案内板設置の要望も出ている。

集落の作業により貴重な群生が残るものの、蛾=が=の幼虫被害で、開花していない樹木も見られる。一帯は奄美群島国立公園第3種特別地域に含まれており、国立公園に適した駆除の在り方が求められそう。