視聴体験会で専用ゴーグルを装着、VR動画を視聴する参加者
仮想現実(バーチャルリアリティー)技術を用いて、奄美大島の様々な魅力を紹介する奄美市の観光誘客VR動画の完成報告会と視聴体験会が7日、市役所であった。報告会では動画を制作した松竹(株)(東京都)の担当者が動画内容を説明。専用のゴーグルを装着して動画を視聴した安田壮平市長は「臨場感がすごく、奄美を疑似体験できる素晴らしい内容」とその完成度に驚いていた。体験会には観光業関係者ら約40人が出席。自然文化や生活、伝統芸能などの魅力を複合的に紹介する動画を視聴した。
VR動画は、上下左右360度どの方向を見ても映像が映し出されるため、実際にその場所にいるように感じることができる。
市は、新型コロナウイルス感染症の影響により来島者が大幅に減少した現状から、今後の観光誘客の回復のための取り組みとして、同市が2021年度に事業提案型のプロポーザル方式で実施。松竹など3社からなる共同企業体に事業委託した。事業費は1300万円。上下左右360度どの方向を見ても映像が映し出されるため、実際にその場所にいるように感じることができる。
「奄美の瞳」をコンセプトに制作された動画は、「海」「空」「夜」「子ども」「文化」「食」「神事」「ケンムン」の8テーマごとに約2分間の映像と、約4分間のダイジェスト版の9種類。奄美の海や森などの自然のほか、大島紬や黒糖焼酎の製造風景、八月踊り(須野集落)などの伝統文化などを紹介。制作を担当した松竹イノベーション推進部の富田剛史マネージャーは「奄美で暮らす人々の視点で、島の日常や島民だからこそわかる奄美の魅力を伝えることを第一に考えた」と話した。
動画を視聴した安田市長は「動画で奄美の自然や文化など体感し、多くの人に奄美の魅力を知ってもらう機会を増やしたい。動画を見て奄美を実際に訪れたいと思う人もいるのではないか」などと、VR動画を活用した観光振興に期待。視聴体験会で動画を視聴した、あまみ大島観光物産連盟の境田清一郎事務局長も「とても臨場感があって、本当にその場にいるように感じた。奄美の魅力を伝えるアイテムとして活用したい」と話した。
市紬観光課によると、視聴用の専用ゴーグルは10個あり、今後、島内外で行われる観光イベントなどで利用するほか、観光団体などへの貸し出しも計画している。5月3日にプロ野球DeNA横浜ベイスターズの公式戦(横浜スタジアム)で行われる「奄美デイ」でもVR動画を用いた観光PRを行う。
動画は専用ゴーグルのほか、インターネットの「You Tube(ユーチューブ)」でも視聴できる。市はスマートフォンを装着して動画を楽しむことができる簡易型の組み立て式VRゴーグル(2種類計8千個)をつくり、イベントなどで無料配布する予定で、多くの人に動画を楽しんでもらいたい」としている。