港に珍客クジラの親子

喜界町湾港内でブロー(潮吹き)を見せる親子クジラ=勇勝美さん提供写真

喜界町湾 ひと時のショー、見物客沸く

喜界町の湾港で7日、港内を優雅に泳ぐ巨大な珍客が現れた。豪快なブローなどひと時のショーに、釣り人や近くの住民らは騒然。子育て中のザトウクジラの親子が、休息のため迷い込んだとみられる。

体長は目測で10㍍ほど。奄美海洋生物研究会の興克樹会長によると、この季節は南の海域で繁殖を終えたザトウクジラが夏を過ごすために北上するシーズンで、島に沿って移動する習性から陸での目撃も増える時期。親クジラはエサを食べずに母乳で育てる期間ともされ、「子どもを休ませようとして迷い込んだのではないか」と推測した。

港内で釣りをしていた同町湾在住の勇勝美さん(72)が異変に気づいたのは午前11時半ごろ。大きな影に一目でクジラとわかった。親子クジラは港内を何度も行ったり来たり。雄大に潮を吹いたり、尾ひれを水面にたたきつけたりと、スマホやビデオカメラを手にする見物客を沸かせ、15分ほどで姿を消したという。

勇さんによると、沖の防波堤付近で見かけることは何度かあったものの港内への侵入は「珍しい」と驚く。「浅瀬で泳いでいる時は座礁しないかとひやひやしたけど、(15㍍ほどの距離で)近くで見られたことに感激した」と喜んでいた。

奄美大島近海では毎年12月~3月にかけて、ザトウクジラは見られる。興会長は「ザトウクジラが見られる最後の時期。遠くから静かに楽しんでほしい」と話している。