「五感澄まし森を感じる」

森に入り新芽を観察する受講生

日本自然保護協 自然観察指導員講習
「世界のモデルとして自然保護取り組みを」

 (公財)日本自然保護協会は9日、「自然観察指導員講習会」の1日目を奄美市名瀬の県立奄美自然少年の家で行った。島内外から集まった41人は野外実習や講義を通し、指導者目線で奄美の自然の奥深さと自然保護の必要性を学んだ。講習会は10日までの2日間。

 自然観察指導員とは、地域に根ざした自然観察会を開き、身近な自然の魅力を分かち合うボランティアリーダー。同講習会は1978年から全国で実施され、奄美では昨年に続き2度目の開催。

 野外実習では41人が3班に分かれて森に入り、樹々や草花を観察した。講師を務めた同協会の浅岡永里さんは「遠くから眺めるマクロの視点、実際に森に入って見るミクロの視点、五感を研ぎ澄まして感じてほしい」と森を案内。参加者らは様々な森の形態に、想像を膨らませながら観察した。

 石垣島(沖縄県)から参加した齊藤渉さん(47)は「森に入る前と後で、景色のイメージが全く変わった」と屋外実習を振り返った。

 また同協会代表理事の吉田正人さんは、生物多様性の保全とくらしについて講義。自然保護には、①ありのままの自然を残す(原生自然)②上手に利用する(二次的自然)③自然を復元する(都市型自然)―の3タイプがあるとし、「保護対象区域がどれに当てはまるのかの判断が重要」とした。

 世界自然遺産に登録れた奄美大島は、登録地である核心部、その周辺の緩衝地帯、さらにそれらを取り巻く奄美大島全体が保護区域に指定された。吉田さんは「世界でも初のケース。生活と世界遺産が密接につながっている奄美大島は、世界のモデルとして自然保護に取り組まなければならない」と結んだ。

 2日目の10日は野外実習の3講習が行われ、参加者らは修了後、自然観察指導員として登録される。