クロウサギ 徳之島南部「犬田布岳」にも

徳之島南部「犬田布岳」(伊仙町)でのアマミノクロウサギの撮影画像=1月26日午後10時54分(環境省提供)

 

 

 

 

環境省「伊仙町にも定着可能性」
ネコ適正飼養も必要

 

 【徳之島】環境省・奄美群島国立公園管理事務所は11日、徳之島南部の「犬田布岳」(標高約417㍍)で今年1~2月、アマミノクロウサギ(国指定特別天然記念物・国内希少野生動植物種)の生息画像を確認。モニタリング調査での確認は約7年ぶり2回目。同岳の伊仙町エリアを含め「定着の可能性が高まった」として情報提供および、飼い猫の適正飼養もアピールしている。

 同省は、アマミノクロウサギが種の保存法で国内希少野生動植物種に指定され、保護増殖事業も策定された(2004年)ことに伴い、12年度から徳之島の山中にも自動撮影カメラを設置してモニタリング調査を本格化。これまでの調査で島内の生息域は北部の「天城岳」(標高約533㍍)と中南部の「井之川岳」(同645㍍)を中心としたエリアとされてきた。

 島南部の「犬田布岳」山頂付近(伊仙町)では15年3月30日、同一個体の画像が計5枚記録され、伊仙町内で初の画像確認となっていた(当時発表済み)。同岳周辺でモニタリング調査を継続したが、生息確認の画像は途絶えていた。

 約7年ぶりの今回新たに、①「犬田布岳山頂付近」で2月1日、5日に計2枚▽②「同岳南側斜面」(頂上から約700㍍離れた計6地点、いずれも伊仙町内)では1月14日~2月16日の間に計13枚、クロウサギの画像が撮影されていた。

 現地調査を続けている環境省・徳之島管理官事務所(天城)の福井俊介国立公園管理官(28)は、同2エリアでの確認に「伊仙町内におけるアマミノクロウサギの定着の可能性が高まったと考えられる」。モニタリング調査を継続するとともに地域には「同エリア周辺でのクロウサギの生息確認情報の提供」を要望。南側斜面から約500㍍離れた同岳の麓では、ネコの姿も撮影されていることから「各町条例に則った飼い猫の適正飼養」も呼び掛けている。

 地元の大久保明伊仙町長は「終戦後もクロウサギの目撃情報やふんの確認もあった。野生動植物に町境はなく、島は一つで世界の宝を守っていきたい」と話した。