奄美大島沖で確認されたザトウクジラの親子(3月1日撮影)=提供写真=
奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は10日、2022年シーズンの奄美大島周辺海域におけるザトウクジラ出現状況をまとめた。今シーズンの出現頭数(3月31日現在)は、1080群1750頭(昨シーズン比160%増)、赤ちゃんクジラを連れた親子も158群(同147・7%増)の出現を確認。ともに本格的に船上調査を始めた14年以降最多となった。
ザトウクジラは、ハワイや沖縄・慶良間諸島付近などで出産・子育てをしているといわれ、夏はアラスカなど冷たい海域でオキアミなどを採食。国立科学博物館によると体長13~15㍍、体重30~40㌧。顎と頭部に多数のこぶ状突起がある。
調査結果によると、今シーズンの初出現は21年12月7日の笠利湾内で、1月上旬から出現回数が増え、来遊のピークは2月中旬から下旬。1月と2月は南下群が多く、3月は北上群が多く見られた。最も多かった日は、3月3日の51頭。
ザトウクジラ群の構成については、1群の平均頭数は1・62頭。群構成比は母仔群が過去最多の158群14・6%を占めた。
ホエールウォッチング利用者数は、同協会加盟の事業者13社合計で過去最多の4961人(昨シーズン比171%増)。うちホエールスイム(シュノーケリングで海の中から観察)が2872人(57・9%)と半数以上を占めた。一方、キャンセル数が607人に上ったが、そのほとんどが1月の新型コロナウイルスの第6波の影響だったという。
興会長は、今シーズン出現頭数が過去最多となった要因として「ウォッチング船、出航日の増加、より広範囲となった検索もあるが、生息数、母仔群の増加が考えられる」とし「戦前戦後に国策として捕鯨されてきたが、1966年の商業捕鯨の禁止に伴い半世紀を掛けて増加している」と説明した。
また、ホエールウォッチングに関しては「自主ルールに基づき、出来る限りクジラに悪影響がないように配慮し、新型コロナウイルスに対しても体温測定、手指消毒など万全を期している」とし、参加者の増加については、「特にリピーターが多いホエールスイムの参加者が自ら感染対策に万全を期し、繰り返し参加したことが要因と考えられる」と話した。