徳之島「剥岳林道」クロウサギ大量死

「イヌが捕殺したと推測」されるアマミクロウサギの死体=3月9日午前10時30分ごろ、「剥岳林道」徳之島町大原側で(環境省提供)

事前に自動撮影カメラが捉えていた3匹のイヌ=3月9日午前4時ごろ、剥岳林道で(環境省提供)

環境省「イヌによる捕殺」と推測

【徳之島】環境省徳之島管理官事務所は12日、徳之島南部の「剥岳(はげだけ)林道」の大原側(徳之島町)で3月9日に発見したアマミノクロウサギ(国指定特別天然記念物)3匹の死因について、「イヌによる捕殺と推測される」と発表した。周辺の自動撮影カメラでイヌ3匹の姿を確認し、クロウサギの損傷部からイヌの遺伝子も検出。あらためて飼い犬・飼い猫の適正飼養のあり方が問われている。

同省徳之島管理官事務所(天城町役場庁舎内)によると、3月9日午前10時30分ごろ、同省職員が「剥岳林道」大原側の約300メートルの区間で死亡したクロウサギ3匹を発見した。いずれも骨折や体の欠損など襲われた痕跡があり、うち1匹は妊娠中(胎仔1個体)だった。

周辺の自動撮影カメラには、同日午前4時ごろにイヌ3匹の姿が捉えられており同省は「イヌによる捕殺」と推測。国立環境研究所に死亡個体の損傷部を採取して遺伝子検査を依頼、3匹ともにイヌの遺伝子が検出された。徳之島保健所がイヌ用のワナを設置したが12日現在、捕獲されていない。

撮影されていた3匹の画像上の特徴は、やや大型犬が1匹と中型犬が2匹。うち中型犬1匹は“首輪”らしきものが確認できる。この3匹には昨年来、同エリアに出没してカメラに捉えられていた。

徳之島町についてはこの間、イヌの目撃情報の収集や放し飼い・遺棄の防止を呼びかけるチラシを近隣集落に配布。撮影されたイヌたちの目撃情報は寄せられていない。

同事務所の福井俊介管理官(28)はあらためて「本事例はイヌによる捕殺であったと推測。引き続きモニタリングを継続するとともに、関係機関と連携して対策を推進したい。徳之島にお住いの皆さまには犬・飼い猫の適正飼養をお願いします」と呼びかけている。

徳之島町の母間地区(タンカン園などの中山間部)では2019年9月、イヌに捕殺された可能性の高い計8匹のクロウサギの死体が相次ぎ確認されている。