2年ぶりクルーズ船寄港

名瀬港に寄港、島内の観光ツアーに参加するため下船するにっぽん丸の乗船客ら

「にっぽん丸」名瀬港に 新型コロナ影響、セレモニーなし

商船三井客船(東京)のクルーズ船「にっぽん丸」(2万2472トン)が12日、奄美市の名瀬港に寄港した。クルーズ船が奄美大島に寄港するのは、2020年2月以来、約2年ぶり。同港岸壁には奄美市とあまみ大島観光物産連盟が共同で観光案内所のテントを設置、島内観光などを予定している乗船客らを出迎えた。島内で新型コロナウイルスの感染が続いていることなどから、歓迎セレモニーなどは行われなかったが、観光関係者らは「ようやくクルーズ船の寄港が再開できるまでになった。世界自然遺産の島をPRし、観光振興につなげたい」と昨年7月の世界自然遺産登録後初となるクルーズ船寄港を喜んだ。

乗客ら約70人、観光ツアー楽しむ

にっぽん丸は10日に神戸港を出発、11日に宮崎県日南市の油津港後、12日午前8時、名瀬港に入港した。乗客は約定員の半分以下の約160人。同日午後5時まで同港に停泊。同市名瀬の金作原原生林や同市住用町のマングローブ原生林などの散策ツアーや、あやまる岬など同島北部を観光するツアーなども企画され、約70人がバスやタクシーなどで島内観光を楽しんだ。

商船三井客船によると、新型コロナ感染対策として、乗客全員が乗船1週間前と乗船当日、油津港出港後の計3回PCR検査を実施した。陽性者は確認されておらず、発熱などの体調不良を訴える人もいないという。

約2年ぶりのクルーズ船寄港に、あまみ大島観光物産連盟の境田清一郎事務局長は「クルーズ船の寄港は奄美観光にとって大きな前進」と喜ぶ一方、島内で新型コロナ感染が続いていることに触れ、「歓迎セレモニーなどの交流ができないのは残念だが、感染防止のためには仕方ない。世界自然遺産登録された島の魅力を伝えられるよう、受け入れ態勢の充実を図っていきたい」などと話した。

同市によると、これまでのクルーズ船受け入れ実績は、17年13隻(4683人)、18年18隻(2万1700人)、19年21隻(1万7488人)と増加傾向にあったが、新型コロナの世界的な感染拡大以降、クルーズ観光の低迷などもあり、寄港がなかった。

15日には日本クルーズ客船(大阪)のクルーズ船「ぱしふぃっくびいなす」の寄港も予定されており、境田事務局長は「今後も寄港を継続するためにも、島内の感染防止対策にも努めていく必要がある」と話した。