2020年4月からは本庁で危機管理課長を務め、21年の総合政策部参事(兼地域政策課長)を経て大島支庁へ赴任。奄美群島での配属は初めてだが、担ってきた領域は離島振興や観光推進、交通政策や防災・危機管理、社会福祉施策など奄美群島にとっても重要な分野ばかり。島を訪れ共に携わってきた政策も多く、「奄美は島ごと、地域それぞれに個性や魅力がある」と語る新川康枝・新大島支庁長に、取り組みに向けた意気込みを聞いた。
―奄美の印象は。
離島は多様性が高いが、奄美は特に多様の象徴。(それぞれの)島の成り立ちが違うから風土も違うしそこでの暮らしも変わる。脈々と受け継ぐ伝統文化も多様で一言では語れない。人もパワーがあって、ふれあいやつながりを大切にするのも魅力の一つ。
―本庁での経験をどう生かす。
地域政策を始め、離島政策やエネルギー、過疎や移住対策、宇宙や関係人口など様々な分野に携わってきた。(経験を生かすためには)まずは各地の現場に自分で足を運んで見て声を聴きたい。島のよさや課題はそれぞれなので、まずは勉強し把握した上で対応したい。
―奄美群島振興開発特別措置法の期限も迫る。
離島振興課や市町村、広域事務組合や住民と連携しながらしっかり現状を理解し、取り組みの方向性を考えていく2年になる。延長に向けては地元、関係機関と力を合わせ、どういったことが必要か、見極めていきたい。
―世界自然遺産に登録された。どう活用する。
実際に金作原に行くことで、価値ある自然がわかる。保全と観光の地域利活用の両立といった面でも、今の時期は大事。観光面ではトレイルを生かした周遊型観光など、群島すべてに波及し全体で盛り上がことも大切。サトウキビや果樹など、農林水産物にも素晴らしいものもある。島外・海外にも売り込みたい。
―コロナ禍が長引くが対策は。
感染対策、水際対策に支庁全体で対応している状況で職員には感謝したい。(現在も)感染数は減らないが防止に資する呼び掛けは必要。(飲食店などには)第三者認証制度の取得なども引き続き呼び掛けていきたい。
―奄美は災害の多発地域でもある。
災害に強い防災対策は重要で、道路や河川改修などの基盤・インフラ整備は続けており、市町村単位の避難の取り組みも進んでいる。(災害時は)迅速な情報把握に努めるとともに、命を守るためには住民が危険な状況を理解していくことも大切。平時の準備なども含めて、情報発信や啓発などには力を入れたい。
―抱負を。
大島支庁は群島すべての県政を担う拠点。現場力という意味で、市町村がつながりを持って大きな一つの奄美群島として、多様な魅力を生かしながら持続可能な発展に資するよう目指していかなければならない。県本庁と違い、現場にも根差している。奄美のために職員、行政、住民一緒になって取り組んでいきたい。
(聞き手・青木良貴)
(しんかわ・やすえ)枕崎市出身。夫と息子2人の4人家族で、単身赴任。筑波大学第一学群卒。1989年に入庁後は、かごしまPR課明治維新150周年推進室長、子育て支援課長などを歴任。趣味は音楽鑑賞で、コミュニティーカレッジや三線教室などすでに三つの公民館講座に応募。「まずは奄美を学びたい!」と意欲的だ。55歳。