避難計画重要性を検証

集落の住民自身が避難計画を検討する重要性を学んだ(23日、宇検村役場前)

 

宇検村で集落別考察講演会
レベル測量、標高把握

 

 

 宇検村は23日、津波・高潮時の災害想定と避難計画を集落別に考察する講習会「レベル測量で、集落内の標高を把握する」を、同村役場及び周辺地域で実施した。前日22日に、同村生涯学習センター「元気の出る館」で行われた講演会「津波・高潮に備える―避難者の健康体力と土地建物の高さを考慮して―」を踏まえ、区長ら自らが測量の検証を実施。両日講師を務めた、同村防災アドバイザーの鹿児島大学共通教育センター岩船昌起教授同行の元、住民自身で各集落の避難計画を検討する重要性を学んだ。

 22日の講演会は、同村区長、消防団、福祉関係者など約80人、オンラインでは7人が参加。昨年12月に同村で開催された防災シンポジウム、今年1月16日未明に奄美群島などに発令された津波警報による避難状況を踏まえ、岩船教授が今年2、3月に行った、同村13集落を対象とした測量調査を報告。集落ごとの高潮や津波で想定される浸水過程を踏まえた、同村で調整中の「個別避難計画」の策定の必要性などを説いた。

 23日の講習会では、座学を実施後、標高などの高さを求める測量器具「レベル測量」と「スタッフ」(標尺)を用い、参加者自らが測量調査を実施。同村にも設けられている、測量法で定められた水準測量の標高の基準となる「一等水準点」などの解説もされたが、「理論はほぼ抜きに、まずは住民自らが実践することが大事」とした現場調査が、同役場周辺で約1時間半行われた。

 今回参加した、同村で最も多い人口・世帯数を有する湯湾集落の藤村茂樹区長は「元々湯湾集落は、自主防災という言葉がない頃から、消防団による活動があったが、講演会で具体的な標高の数値が把握出来て良かった。自ら測量したことで、標高の把握の重要性が学べた」と語った。

 岩船教授は「各家の標高を調査し『点』を増やすことが大事だが、ブロックごとに目安を設けるだけでも良い。警報などの津波情報と標高の数値を照らし合わせた具体的な避難行動が可能となる」と話した。