長年の課題、打開なるか ~現場から2022~

第2期計画は3月下旬、策定委から再生協へ提言された

第2期紬再生計画施行
担い手不足、工賃アップ「目に見える結果を」

本場奄美大島紬産地再生協議会(会長・牧雅彦本場奄美大島紬協同組合理事長)は今月1日、「第2期本場大島紬産地再生計画」を施行した。産地振興策の指針になるもので、2026年度までの5カ年計画で運用。12のアクションプランを柱に、危機的状況にある業界の打開に取り組み、時代にあった産地の再生を目指していく。

第2期の目玉は、取り組みに優先順位を設け、実行体制を明確にした。アクションプランでは「技術伝承方法、教育機関整備」と「職人の工賃アップ」の2項目を最優先項目に位置づけ、プランごとに目標や実行フェーズを詳しく設定。体制については協議会内に実行委員会と評価検証委員会を新設。実行委の下には、教育、流通改革、情報発信などの6部会を設け、評価検証委が定期的に達成度などをチェックしていく。人選はこれからだが、同協議会の福長敏文事務局長は「第1期では漠然としていた役割も明確になった。再生に向けてきっかけをつかみたい」と期待する。

本場奄美大島紬協同組合の調べによると大島紬の従事者は2020年3月末現在、620人(男125人、女495人)で、平均年齢は70・7歳。従事者は1万6千人だった最盛期の4%に満たず、うち9割にあたる544人が60歳以上と高齢化は著しい。工程別(重複あり)では、織りは468人とそろうが、図案14人、締め34人、染織25人、加工43人、糊張り19人と少なく、若年層(20代~40代)21人のうち、締めが3人と少なく、図案と糊張りに至ってはゼロと担い手不足が深刻だ。

新たな計画では、やるべきことをすべて指示した。例えば「技術伝承方法、教育機関整備」のプランでは、▽技術の資料化▽学ぶ場の整備▽若手人材への働き方像の明示―をゴールに設定。具体的には、技術が途絶えないよう職人の手練手管を映像や文書で残し、学びたい者がいればいつでも飛び込めるように学び舎を整備し、多能工育成なども視野に入れつつマルチな形で受け入れる。新たな担い手へは、将来は何に従事し、どれくらい働けばいくら稼げるのかなどもわかりやすく提示。その仕組みを作るフェーズについては、情報を集める「準備・仕込み期」など、再生期、確立期、発展期の4段階で進める。12プランそれぞれで示した。

ある関係者は「(職人の高齢化で)猶予はなく後継者育成が急務。ここが達成できなければ先々の展開もできない」と話す。だが、資料化項目の一つをとってもその作業は膨大で「本当にできるのか」といった不安もつきまとう。

一方、後継者の育成に向けては「職人の工賃アップ」などの課題も大きく絡む。試算によると、職人の工賃は明らかに県の最低賃金を下回っており、工賃が上がらなければ新たな従事者も見込めず、道のりは険しいと言わざるを得ない。

戦後の大島紬生産反数は1972年の約30万反をピークに減少に転じ、20年は3300反まで減少している。「職人の工賃アップ」についても30年以上にわたる課題で、未だ解決策は見通せていない。大島紬に関わらず日本の伝統工芸は、仕事量・現金収入の減少に伴う賃金低下、徒弟制度瓦解による後継者育成の遅れにあえいでいる。問屋などを通じた実店舗での販売に依存していたいわゆる長期継続的取引なども、打撃を大きくしている要因の一つだろう。

福長事務局長は「最後の5年という気持ち。やるからには将来に向けた体制、継承方法の確立など何かを残さなければならない」と話す。産地が一体になれるかどうかも大きな鍵で、ひとつ苦言を呈するならば事業には住民の税金が投じられている。2期10年となれば、何かしら目に見える結果も必要だろう。

迫る状況を前に第2期計画もスタートした。まずは実行委員の選定が肝要で、すぐ揺らぐような土台では長年の課題には向き合えない。費用は高額かもしれないが、専門家や再生のスペシャリストを招くのも一つの手だ。大島紬は誰もが認める島の宝。奇をてらうことなく一歩一歩、改善に向かうことを願う。(青木良貴)