世界遺産センター7月下旬開館へ

7月下旬開館予定の「世界遺産センター」

官民連携で運営 メインは「森の中を疑似体験」

奄美市住用町「道の駅」敷地内に建設中の「世界遺産センター」が、7月下旬の開館を目指し準備を進めている。3月に外装工事を終了し、内装及び展示物設置なども6月末に完成予定。世界自然遺産に登録された「世界の宝」の内外への発信と、次世代に継承するための拠点として期待される。

施設の管理運営は、▽地元自治体による協議会=基本的運営と建物の日常管理▽環境省=遺産地・国立公園の保全管理と建物の維持管理▽民間=物販店舗の運営―と、官民が連携する。

協議会は奄美大島5市町村と県の連携で構成。今年度奄美市に新設された「世界自然遺産課」から1人、瀬戸内町から1人、民間から1人の計3人を配置。環境省職員と連携し展示案内や普及啓発を行う。物販店舗は、民間から公募選定した㈱SQ(島﨑仁志代表・奄美市名瀬)がミュージアムショップを運営。環境配慮型のアウトドア商品などを陳列する。

床面積は本館約582平方㍍、展示室約318平方㍍。展示室のメインとなるのは、奄美の森をジオラマと大画面映像で疑似体験できるコーナー。館内の照明や映像・音響が連動し、夜明けから夜間までの「一日の森」の様子や「四季ごとの森」を、山に入る感覚で体験できる。

また森林伐採された森が復活するまでの経過を、▽身近な森=伐採から10~20年後▽常緑の森=50年後▽大木が支える森=未来―と三つの森をストーリー仕立てで表現。さらに森を取り巻く雲霧林や渓流が再現される。

環境省(奄美群島国立公園管理事務所)の山根篤大さんは「日常で山や森に行く人は少ない。ここで疑似体験し、森林や生物多様性など自然の面白さに興味を持つきっかけになってほしい」と期待を込める。

また周辺施設、奄美自然観察の森(龍郷町)・奄美フォレストポリス(大和村)・せとうち海の駅(瀬戸内町)などの案内や計画的誘導の役割も担う。

人の暮らしと自然が密接につながっている奄美大島。島中部に広がる遺産地のほぼ中央に立地する世界遺産センターは、交通アクセスも良い。山根さんは「観光客に限らず島内の多くの人にも来館してほしい。楽しみながら奄美の自然に理解を深めてもらいたい」と話した。