GWの予約堅調

感染高止まりも回復期待
奄美群島宿泊施設

 奄美群島の宿泊施設では、大型連休となるゴールデンウイーク(4月29日~5月5日)中の予約が好調に推移している。新型コロナウイルス感染拡大前の水準には届かないものの、最大級の警戒が呼び掛けられた昨年と比べて、多くのホテルが予約率は上昇。感染者数は高止まりで予断を許さないものの、観光地には一定のにぎわいが戻りそうだ。

 奄美市名瀬のホテルビッグマリン奄美では、昨年同時期の6~7割に対して、今年は82室のうちすでに8割ほどが予約済だという。向井純一代表取締役社長は「(予約客は)まだまだ様子を見ながらという印象だが、昨年、一昨年に比べると動きは活発」。関東・関西方面からの来島者も多く「臨時便などの効果もあり、徐々に戻っては来ている」と話す。

 徳之島町のホテルグランドオーシャンリゾート(80室)では、2・3・4日の3日間がすでに満室。担当者によると昨年は期間中の感染拡大にキャンセルが相次ぎ落ち込んだが、今年は8割程度まで回復。ただ「本土からの利用客も多いが、ツアーなどに団体客は戻っていない」と動向を注視する。

 知名町のおきえらぶフローラルホテルでは、71室のうち7~8割が埋まっており、前年比で5割ほど回復。客層は「家族連れが多い」という。与論町のプリシアリゾートヨロンでは、大規模改修中も提供する20室すべてが満室。昨年はキャンセル続きで営業を打ち切ったこともあったが、今年は早い時期から予約が入り、「解約があってもまた予約は入る状況。(観光客など)人の流れも増えている」と話す。

 一方、喜界町の喜界第一ホテルでは予約率が平年の半分程度で推移し、コロナ禍以降は戻る兆しが見ない。「今年も昨年、一昨年と横ばい。ツアーがなく大人数での宴会もなくなった。収束までは厳しいのでは」と見ている。

 感染者数は高止まりしているものの、今年は多くの宿泊施設で上向きつつある。観光への心理的なハードルは下がってきていると見る向きも多く、回復へは期待も高い。

 だが、関係者からは「弁当を買って室内で食べる人も多い」「恐る恐るで、直前まで予約が入らない」「一人旅も増えた」といった様々な声も上がる。コロナ禍以降、観光スタイル、旅先での過ごし方も大きく変化しており、行政も事業者もどのようなメッセージを出していくのか難しい時期に来ている。