龍北中生徒が減速帯設置

アマミノクロウサギが目撃された町道に減速帯を設置する龍北中の生徒ら

クロウサギロードキル対策「安心して暮らせるように」龍郷町

龍郷町立龍北中学校(志風寛校長、12人)は26日、環境学習の一環で、同町内の町道にアマミノクロウサギなど希少動物の交通事故(ロードキル)を防ぐため導入が進められている減速帯の設置作業を体験した。生徒らは、環境省奄美野生生物保護センター(大和村)の職員から、世界自然遺産に登録された奄美大島の希少種保護現状や同町内でもアマミノクロウサギなどの生息数が増えていることなどを教えてもらい、減速帯設置することでロードキル対策の重要性を学んだ。

設置体験には生徒10人が参加。体験前には、同センターの希少種保護増殖等専門員・鈴木真理子さんが、特定外来生物のマングース駆除などにより希少動物の生息数が増加している一方で、ロードキルで犠牲になるアマミノクロウサギが増えていることなどを説明。「スピードを落とすことで、交通事故を減らすことができる」などと話した。

その後、生徒はアマミノクロウサギの目撃情報が寄せられている町道に移動、減速帯を実際に設置した。減速帯は、廃タイヤを再利用したゴム製で、長さ250センチ、幅35センチ、高さ5センチ。裏面に接着剤を塗り、ボルトで道路に取り付けた。

減速帯は奄美大島5市町村で組織する奄美大島自然保護協議会(事務局・奄美市世界自然遺産課)が昨年度から島内に設置を進めているもので、同町内での設置は3基目。島内では12基が設置されることになっている。

参加した2年生の島田宇海さん(13)は「減速帯は見たことあったけど、取り付けるのがこんなに大変だと思わなかった。奄美にしかいない生き物をみんなで力を合わせて守っていきたい」と話し、同学年の圓山結礼さん(13)は「アマミノクロウサギが増えているのはうれしかったけど、ロードキルで犠牲になっていることを知って悲しくなった。事故が減って、クロウサギが安心して暮らせるようになってほしい」と話した。

同センターの鈴木さんは「ロードキル対策は、まだ始まったばかりでいろんな方法が検討されている。どんな方法がいいのか、子どもたちが自ら考えるきっかけにしてほしい。貴重な奄美の動植物をみんなの手で守っていってほしい」と話した。