復帰経験4島がオンラインで交流

奄美会場で復帰運動の様子を話す安原てつ子さん

 

 

「奄美群島復帰っ子連絡協」立ち上げへ
未来志向へ連携確認

 

 沖縄の日本復帰50周年に伴い、復帰を経験した4島による「全国復帰っ子オンライン交流会」が29日、Zoom形式で行われた。主催は沖縄県復帰っ子連絡協議会(前泊美紀代表)。奄美会場の鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室(奄美市名瀬)には、「奄美群島の日本復帰運動を伝承する会」の9人が参加。4島の復帰を振り返るとともに、各島が未来志向での交流を図ることを確認した。

 同協議会は、沖縄が復帰した1972年に生まれた有志らで構成。復帰から半世紀の節目の年に10年ぶりの復帰記念として企画された。4島での開催は初めて。参加島は沖縄島、奄美大島、十島村(トカラ列島)、小笠原村(小笠原諸島)の4島。

 前泊代表は「それぞれの復帰の歴史を知り、未来を考えるきっかけにしたい」と交流会の趣旨を説明。各島代表が復帰運動の様子や島の現状・課題などを挙げ、意見交換した。

 「平和と人権」という世界の恒久的課題を訴えた奄美の復帰運動は「戦後史に残る民族運動」(奄美・安原てつ子さん)。小笠原有志グループの森田裕一さんは「その奄美の復帰運動が、その後の小笠原村の復帰に大きな影響を与えた」と指摘。

 安原さんは、「1953年12月奄美群島が日本復帰後、翌年にはさらに『沖縄を日本に返せ』コールがあがった」と、沖縄復帰運動との関りも述べた。

 また、▽硫黄島には戦前1200人の村民がいたが、いまだに帰島がかなわぬ旧島民がいる(小笠原・森田さん)▽米軍基地があり続けることによる、経済に与える構造的な問題(沖縄・仲間直樹さん)▽交通手段としての空路の確保(十島村)―などの課題も共有した。

 来年は奄美群島が復帰して70年目。同伝承する会の花井恒三さんは「有意義な会だった。さらに交流を深めるために、『奄美群島復帰っ子連絡協議会』を立ち上げたい」と交流会を振り返った。

 4島の日本復帰は、▽沖縄島1972年5月15日▽小笠原諸島68年6月26日▽奄美群島53年12月25日▽トカラ列島52年2月10日。