キャンプ用品売り上げ伸び悩み

キャンプ用品を案内する久保善造さん(ビッグツー奄美店)

キャンプ場にぎわうも「奄美での浸透はまだ」

 全国的なキャンプブームの中、島内の山や海のキャンプ場がゴールデンウイーク(GW)でにぎわっている。奄美フォレストポリス(大和村)や大浜海浜公園(奄美市)の小浜キャンプ場では、連日多くの観光客がキャンプを楽しんでいる。一方、キャンプ用品を扱う販売店やレンタルショップでは売り上げが伸び悩み。龍郷町のビッグツー奄美店の松浦能久店長は「キャンプブームは確かだが、奄美での浸透にはまだ時間がかかる」と分析する。

 日本での第一次ブームは1990年代後半、バブル崩壊後に自然派志向のキャンプブームが到来。その後、ブームは沈静化したものの、11年の東日本大震災を機に再びキャンプ人口が増加。そして、コロナ禍で密を避ける「ソロキャンプ」を中心に、全国的なブームに火がついた。

 ビッグツー奄美店でキャンプ・レジャー用品売り場を担当する久保善造さん(66)は、「昨年に比べるとキャンプ用品の売り上げは大幅に落ちている」という。コロナ禍の中、自宅で楽しむためのバーベキューコンロセットが昨年までは売れ筋だったが、今年はそれさえも不調。「例年50セットほど売れていたが今年はまだ10セットほど」と頭を抱える。また、団体の観光客もキャンプ用品売り場には足を運ばないという。

 全国的なブームで、奄美でのキャンプ場利用の観光客は増えているが、奄美市内のレジャー用品店店員は「島内にはまだキャンプ施設が少なく、そこに観光客が集中する。また、テント設営など規制されている場所が多い」と、奄美にキャンプ習慣が根付かない要因を指摘。

 「奄美にもキャンプをしたいというアウトドア派の人はたくさんいると思う。しかしきっかけがなく、なかなか踏み出せない。奄美のキャンプブームはまだ先」というは、奄美市名瀬と笠利町でキャンプ・アウトドア遊具のレンタルショップ「あすびや」を経営する川口真耶代表。「そのきっかけとして当店を利用し、キャンプの楽しさを知ってほしい」と話した。