「野生のイルカに餌をやらないで」

ドルフィンスイムで撮影されたイルカの親子(提供写真)

 

 

ドルフィンスイム、暫定自主ルールを公開
奄美クジラ・イルカ協

 

 

 「世界自然遺産登録の島として誤解、厳しい批判を受ける可能性がある」として、奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)はこのほど、シュノーケリングなど軽装備で海に入り、イルカと一緒に遊泳する際の規則として制定している「ドルフィンスイム暫定自主ルール」を公開した。同協会と加盟する事業者、関係団体他、奄美群島内の関係者らで順守されている内容だが、「野生のイルカへの餌やり」に関する問い合わせが増えていることを受け、改めて同ルールの公開とともに周知を呼び掛けた。

 同協会は、奄美周辺海域に冬期に来遊するザトウクジラや、周辺海域に生息するミナミバンドウイルカ地域個体群の出現および個体識別調査を行っており、マリン事業を営む14事業所が加盟。また、昨年から奄美大島・喜界島・徳之島のイルカの出現情報を共有し合う「奄美イルカプロジェクト」を開始。イルカウォッチングを主とする複数の事業者が参加している。

 興会長によると、先月上旬にネット上に、「野生のイルカへの餌やり行為」が撮影された動画が投稿されたことから、連日同協会に対する問い合わせがあり、対応に追われているという。ルールを順守しているエコツアー関係者への影響を踏まえ、今回の公開と呼び掛けとなった。

 公開した自主ルールは、以下7項目。

 ①イルカの進路や自由な行動を妨げない②イルカに餌をやらない③イルカに触らない、触ろうとしない④同一群への同時入水は1隻とし、複数船の場合には順番で行う⑤複数隻の場合、待機船は対象群から300㍍以上の距離をとる⑥対象群が船を避ける行動が頻繁に見られた場合はスイムを終了する⑦養殖いけす周辺でのスイムは禁止。

 興会長は「世界的に野生動物への餌やりは禁止されている。悪気なくしているとは思うが、動画を上げる行為もだが、野生動物への餌やり自体をしないで欲しい」と注意を呼び掛けた。