笠利診療所の旧医師住宅改修

外壁等の改修工事が行われている奄美市笠利町の旧医師住宅

新型コロナ発熱外来診察施設に 奄美市

奄美市は同市笠利町の笠利国民健康保険診療所に隣接する旧医師住宅を新型コロナウイルスの発熱外来用の診察施設として整備を進めている。今年1月から外壁などの改修工事が行われており、6月下旬にも工事を完了する予定で、7月以降の利用開始を目指している。同診療所では現在、無料PCR検査等を含め、新型コロナに対応できる施設がなく、発熱などで診察に来た患者は、車内など診療所外に待機してもらっている。奄美大島では1月以降、連日のように感染者が確認されており、市と同診療所は「発熱外来用の診察施設が完成すれば、患者への対応などの改善につながる」としている。

市建築住宅課によると、旧医師住宅は鉄筋コンクリート2階建て(延べ床面積84・71平方メートル)。同診療所に勤務する医師のための住居として旧笠利町によって1980年に建設されたが、築40年以上が経過、老朽化などもあり、使用されない状態が続いていた。

市は昨年度、新型コロナ対策として、発熱外来用の診察施設に改修するための費用約4300万円を予算化。1階部分に診察室と待合室、トイレなどを整備、2階部分には診察が深夜になる場合などを想定、仮眠などが可能となる医療関係者用の宿泊施設を整備する。

同島内では1月に新型コロナ感染者が爆発的に増え、以降も感染者が継続して確認される状況が続いている。島内の感染者増加に伴い、同診療所を訪れる発熱患者も増えている。診療所では、施設内での感染を防ぐため、車で訪れた患者に対しては、車内待機してもらい、看護師や医師、薬剤師らが出向き診察するなどの対応をとっている。

同診療所によると、「発熱などの症状を訴える患者や、抗原及びPCR検査に訪れれた人が3月は、約300人ほどいた」と言い、短時間に多数の患者が訪れると、車の駐車スペースも足りなくなってしまうという。

同診療所の担当者は「施設が完成すれば、PCR検査などもスムーズに行えるようになる。一般外来患者を含め、利用者の利便性向上につなげたい」と話し、施設の早期完成を期待した。