近大奄美実験場 新管理棟竣工式

新管理棟の竣工式で感謝を述べる升間主計所長
竣工した奄美実験場の新管理棟

「環境を生かした研究の充実へ」

瀬戸内町花天の近畿大学水産研究所奄美実験場で17日、新管理棟の竣工式典があった。大学関係者や同町職員・工事関係者ら約20人が参列。同研究所の升間主計所長は「クロマグロの養殖及び研究に、国内で最も適している同地。今回新設した管理棟では、奄美の環境を生かした研究を更に充実させたい」と関係者への感謝と今後の抱負を述べた

奄美実験場は、水産研究所の国内7番目として2001年に同町に開設。亜熱帯環境を利用して、完全養殖のクロマグロやシマアジの生産、交雑魚クエタマの品種改良の研究に取り組んでいる。開設から20年以上経過し、塩害や老朽化のため建て替えたもの。

完成した新管理棟は鉄骨造りの1階建て、延べ床面積約430平方㍍。事務室に加え宿泊施設も完備し、研究・生産機能と学生・教職員や研究者の環境向上を目指す。2021年7月着工、翌22年3月完成。建物総工費は約1億1千万円。

式典では宮司による、祝詞奏上=のりとそうじょう=や玉串奉奠=たまぐしほうてん=などの神事が行われた。鎌田愛人町長は、「水産研究にとどまらず、地域雇用や花天集落の水道整備など数多く尽力した同大研究所と、今後も連携を深めたい」とあいさつ。式後、来賓者は新管理棟内や実験場などの視察をした。

02年に世界初となるクロマグロ完全養殖に成功した同大研究所。クロマグロ以外にも18~20種類、うち奄美実験場では5種類(マダイ・カンパチなど)を養殖している。採卵から生育までの研究を通し、更に育種(病気の少ない種)に取り組み、持続可能な『近大マグロ』の生産を目指す。

新管理棟は今後、什器や実験設備・WiFi環境などを整え、6月末からの運用開始を予定している。