奄美・沖縄自然遺産地域連絡会議

オンラインで開かれた奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産地域連絡会議

一部報告「具体性欠ける」
ロードキルなど4課題 レポート策定へ協議

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産地域連絡会議」の2022年度1回目の会合が20日、オンラインであった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会へ提出するレポートの骨子案などが示され、要請のあった4項目の課題などを協議。レポート案では一部、要請に対する目標数値や見直し策などへの具体的な報告内容が欠けるとして、講評した委員からは「努力を期待する」との声も上がった。

昨年7月の世界遺産登録に伴い世界遺産委員会がレポートを求めた課題は、▽特に西表島における観光客の制限▽アマミノクロウサギなど絶滅危惧種のロードキル対策▽包括的な河川再生戦略の策定▽緩衝地帯での森林伐採レベルの制限―の4項目。昨年8月に対策検討のためのタスクフォースを4地域で立ち上げ、レポート策定への協議を進めてきた。

会には奄美・沖縄の世界自然遺産4地域の12市町村長ら関係者約80人が出席し、レポート策定のための骨子案などが示された。ロードキル対策では、発生状況や取り組みへの指針が示されたほか、発生メカニズムの検証を進める対応策などが説明。奄美大島・徳之島では、事故との関係を整理するカルテを作成し、対策優先区間を抽出したことなども報告された。

琉球大学名誉教授で科学委員会の土屋誠委員長は講評で、各課題にふれ「数値目標がない」「具体性示す必要がある」などと指摘。ロードキル対策については「管理措置の有効性を見直せとの記載がある。どう見直したかが示されていない」と述べ、「(事故件数は)残念ながら減少していない。見直すことはチャンスであり、しなければならない義務だ」と訴えた。

レポート(和文案)は7月下旬を目途に策定。科学委員会や同会議の評価を経て、12月1日にユネスコへ提出する。