奄振法延長に向けた総合調査で、各種団体代表と意見交換した意向調査
県の奄美群島振興開発総合調査のための各種団体意向調査が20日、奄美市名瀬の奄美会館であった。2023年度末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長に向け、地域の課題や今後の取り組みの方向性などを探ることを目的に、17日から群島各地(全6会場)で開催。5会場目となった今回は、奄美市、龍郷町、大和村を対象に、農漁業や観光、情報、文化、教育など各分野の代表者がそれぞれの取り組みを紹介、地域の発展に必要な支援策などについて、県の担当者らと意見交換した。出席者からは、人材育成や後継者不足などが課題となっている現状が多く報告され、移住者に対する支援などの取り組みを求める意見が相次いだ。
会議には奄美大島商工会議所やJAあまみ、名瀬漁業協同組合、奄美市校長会、鹿児島大国際島嶼教育研究センターや労務、情報、文化など各分野の代表11人が出席、県大島支庁や県離島振興課の大西千代子課長らと意見交換した。奄美市の担当者と同市議会の西公郎議長もオブザーバー参加した。
農業の代表者は、農家の高齢化や後継者不足により慢性的な働き手不足が続いている現状に触れ「農業に魅力を感じる若者が少なく、耕作放棄地が増えている」などと指摘。漁業者代表も後継者不足や燃油価格の高騰、魚価の低迷が続いている厳しい現状を明らかにした。
観光など多くの分野で慢性的な人材不足が課題となっていることが指摘されるなか、出席者からは移住、定住者の受け入れ態勢の強化を求める意見が多く挙がった。
定住者向けの空き家が不足していることや、移住したものの地域コミュニティになじめず、島を離れてしまうケースへの対応などが求められ、移住者が地域に求める生活環境と地域の受け入れ態勢との間のミスマッチを指摘する意見もあった。
団体意向調査は17日に与論町と喜界町でスタート。18日に瀬戸内町と宇検村、19日に和泊町と知名町がそれぞれ合同で行われた。27日は徳之島3町を対象に行う。
県は各種団体の意向調査後、住民アンケートや奄美群島12市町村との意見交換などを行い、今年度末までに国へ提出する総合調査報告書をまとめることにしている。