放送大学公開講座

「動物の病気と人の関わり」をテーマに講義する三浦さん

人と動物、病気の関わりは?
三浦さんが「獣医学」で講義

 放送大学鹿児島学習センター主催の「公開講座」が22日、奄美市名瀬の県立奄美図書館であった。鹿児島大学学術研究院獣医学系教授の三浦直樹さんを講師に、「動物の病気と人の関わり」と題し講義。参加者18人は、人と動物の双方に共通する病気の研究や動物医療など、獣医学の最前線にふれた。

 三浦さんの専門は獣医学。犬などの動物と人が共通して患う病気について、マイクロRNAなど遺伝子レベルで解析することで互いの医療に役立てようと研究を進めている。

 三浦さんは、人と犬の関係性について「1万4千年前、最初に家畜化した動物。昼に起きて夜に寝る動物は犬だけで、人との特質を共有する数少ない動物だ」と説明。がんや脳血管疾患、脳梗塞など共通する病気にふれ、「遺伝子的に見れば犬と人のがんはほぼ同じ。犬で効果が示せれば人にも作用すると想像できる」など、自身の研究を解説した。

 新しい腫瘍マーカーや幹細胞移植など、マイクロRNAによる最新の研究成果を紹介した三浦さんは現在の研究方法について「CTやMRIなど、動物も人と変わらない機材で研究できている」と説明。「遺伝子に着目することで不明だった猿の病気も人と同じ心筋症であったことなども解ってきた。常に新しいものが出てきて世の中は変わってきている。医学はまだまだわからないことばかりだが、想像してみることが大事だ」などと訴えた。