奄振法延長へ総合調査

奄振法延長に向け群島市町村長らと意見交換した県の総合調査

沖縄との連携強化、交付金拡充
12市町村長ら意見交換

 県は24日、2023年度末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長に向けた総合調査の一環で、群島12市町村の首長や議長、地元選出県議との意見交換会を奄美市名瀬の市民交流センターで開いた。出席者からは、奄振法延長の必要性を指摘する意見のほか、沖縄との連携強化や航空路線の利便性向上、奄美群島振興交付金の拡充など、ソフト施策を中心とした取り組みを求める意見が相次いだ。県は今後、地元の意見などを集約、各分野の現状・課題などを検討、今年度末までに国へ提出する総合調査報告書をまとめる。

 総合調査は法延長に向けた新たな振興開発計画を作成するため、群島の社会経済の現状や課題や、これまでの奄振事業の成果などを総合的に調査するもので、県は現在、地元市町村の意向調査や住民アンケート、各種団体との意見交換などを進めている。

 意見交換会では、事務局の県離島振興課が総合調査の概要や今後のスケジュールなどを報告。①奄美群島が果たしている役割の多様化②人口減少や少子高齢化③条件不利性の改善や交流人口の拡大④各島の特性に合った地域づくりや産業振興⑤世界自然遺産に代表される自然環境の保全と利用の両立⑥防災対策や医療体制の整備⑦道路・港湾・空港等の基盤整備―の7項目を視点に調査を進める方針が示された。

 また、調査にあたっては、農業や情報通信、観光交流など18部門ごとの検討会を設置、学識有識者などの意見も取り入れ、これまでの成果や今後の課題などを総括、世界自然遺産登録などの追い風を生かした計画策定を目指す。

 出席者からは、奄美と一緒に世界自然遺産となった沖縄との連携強化を求める意見や、現在、鹿児島本土と各離島間を結ぶ航路および航空路線で実施されている運賃軽減事業や農林水産物等輸送コスト支援事業の沖縄への拡充を求める声もあった。

 また、硬度の高い飲料水に悩む沖永良部島や与論島、喜界島の上水道対策や東京―徳之島の直行便開設、教育文化を視点とした地域振興、情報通信分野の人材育成など、意見の多くがソフト事業だった。

 ソフト事業では、14年度の法延長時に創設された奄振交付金のメニュー充実や予算拡充も焦点となっている。同交付金は17年度以降、毎年約24億円の予算が充てられており、年間予算約198億円の奄振事業に占める割合は約12%。出席者からは更なる拡充を求める意見もあった。