コロナ禍・奄美のために出来ること=30=

志村けんさんの死にショック酒に消えたのはおよそウン億円?
大人が地場産業の整備をして若者が戻れる環境の整備を

 奄美への思いと、登場人物のプロフィルに迫りながらバトンをつないでいく「奄美のためにできること。新型コロナウイルスと私は闘う!」の第30回。芸能生活50周年を迎え、ますます精力的な歌手・吉幾三さんの後編をおくる。(東京支局・高田賢一)

 大切な人を失ったコロナ禍も、経営者としても奮闘。

 「志村けんさんとは、『バカ殿』でも共演したし、亡くなったひと月後もご一緒するはずで、本人も楽しみにしていた。岡江久美子さんともドラマで夫婦役を演じた。身近な人がいなくなるのはつらかったね。ステージが全くできないのは、皆さんと同じですが、僕は事業主として社員を守らなければならない。『コロナに負けるな』との思いをラップや津軽弁にしてユーチューブで配信しているけれど、たくさんの利益にはつながらないのが現状です。この歳になって金の工面をするとは、思っていませんでしたね(笑)」

 豪快な酒の飲み方に少し反省も、抱くファンらへの感謝。

 「計算したらざっとウン億円分は飲みました。『雪國』『酒よ』でそれぞれビル建つくらい稼ぎましたが、全部飲みました。例えば財布に300万円入っていたら全て空にしちゃう、そんな飲み方をしていましたね(笑)。奄美では、もっぱらホテルでバーベキューをやりながら黒糖焼酎を中心に飲みまくりました。豚肉の煮物もうまかったなぁ」

 子どもたちより、大人たちへ向けた希望のメッセージ。

 「大人には、地場産業の整備をしてほしい。リンゴやコメなど津軽にはとても価値のあるものがある。農家を集めて株式会社にして海外からも研修生を迎え、若者に給料を払える場を県も巻き込んでつくるべき。と事あるごとに地元市議らに言っているが、何もやらない。地元に残りたいと若者に思わせることをしなきゃ、ますます田舎は取り残されるのに…。島から出る子どもたちは、都会へ行くことで島以上に金も掛かる、島以上に知っている人もいない環境で島と都会の良さと悪さが見えてくる。それが、きっと島へ帰った時のエネルギーになる。子どもたちがいろんな経験をした上で『俺、親父の後を継ぐから』と言わせられる環境を大人がつくってやるのです」

 コロナ禍の終息を思い描く、ファンへの恩返し。

 「例えば、滋賀県に『吉幾三琵琶湖会』があるように、全国各地に後援会があります。間もなく50周年の劇場をやりますが、それが終わったらコロナ禍の終息を願って、後援会の全国行脚をしたいですね。ハワイ、サンフランシスコにも行きたい。奄美? 残念ながらないけれど、特別なプランがあるんだよ。船が出るタイミングを計らって『奄美で待って』をそこで歌う。奄美の港を出る船の人たちへ熱唱する。青函連絡船のように、極彩色の紙テープが舞う中だと最高。面白いでしょ。縁がある所には、恩返しをしなきゃだめでしょ」

 次回登場するのは、歌手・香西かおりさん。「親はがっかり!子はしっかり!」の特別公演を6月(4日~12日)に大阪・新歌舞伎座で、7月(8日~24日)に東京・明治座で行う、吉幾三さんからバトンを受ける。