脱炭素と地域課題、両輪推進

今年度から配置された「知名町グリーン人材」として脱炭素社会形成に向けた業務に取り組んでいる乾さん(27日、奄美新聞社で)

知名町地球温暖化対策専門職の乾さん

一般社団法人サステナブル経営推進機構(石田秀輝理事長)からの2年間の出向で今年度から、知名町企画振興課に地球温暖化対策専門職として乾大樹さん(38)が配置されている。内閣府の地方創生人材支援制度「グリーン人材(グリーン専門人材)」を活用。ゼロカーボンシティの実現に向けた専門的助言などの業務に取り組む乾さん。地域課題と脱炭素社会構築を両輪で推進することで、町と住民が一体となっての持続できる地域づくりを目指す。

知名町と和泊町、リコージャパン、同推進機構の4者共同で提案した計画「ゼロカーボンアイランドおきのえらぶ」は、環境省の「脱炭素先行地域」に選定された。6月1日には東京の有楽町よみうりホール(読売会館)で認定証授与式があるが、乾さんは配置前から計画の事務作業などに関わった。授与式にも今井力夫知名町長らとともに出席予定。

高知県出身の乾さん。知名町徳時字(あざ=集落)在住の石田さんが理事長の推進機構では、主に環境省の再生可能エネルギー調査・経済産業省の産業支援事業に従事してきた。「知名町グリーン人材」としては専門的助言のほか、▽地域住民に対し、脱炭素の意識を高める施策実施▽脱炭素社会構築に向け、国県の活用できる補助事業の提案および実施▽脱炭素に向けた住民等の理解度を示すための事業評価を含む資料作成▽集落版(字版)地域循環型共生圏計画策定事務―が主要業務。住民を対象にワークショップを開くなどしての構想策定では、沖永良部島における年間平均気温の推移などデータを示すことで温暖化の進展を身近に感じてもらえるよう工夫している。

「離島ゆえに小さな取り組みによって成果を生み出しやすい。各字に出向いての説明ではLEDや蓄電池の取り入れなどエネルギーのコストカットにより支出を抑制することで確保できた予算を地域の活動費などに充てることができることを説明している。また、走行距離の面などからEV(電気自動車)に向いており、役場の公用車だけでなく農家のみなさんが使用する軽トラックでもEVが導入できないか、メーカーに提案しながら一緒に取り組みたい」と乾さん。

脱炭素、再生エネ推進によるエネルギー自給、食、廃棄物といった循環の輪を広げることで「自己完結型の島」を提唱。乾さんは「離島だから推進しやすいのではないか。地域住民の理解のもと実現していくことでフロントランナーを目指したい」と語った。25日から来島している奄美大島では同様にゼロカーボンシティ宣言している宇検村、校舎に太陽光・蓄電池を取り入れている奄美高校などを視察。乾さんは、脱炭素・持続できる地域づくりを沖永良部島だけでなく群島内で情報交換し共同推進にも意欲を見せた。