95歳のスーパーおばあちゃん

愛用の自転車で体操教室へ


体操の後はみんなでお茶

「シゲおばは地域の誇り」
なんでもこなし集落住民が尊敬 笠利町佐仁集落

 軽やかに自転車を乗りこなし体操教室に向かうのは、奄美市笠利町屋仁の築地シゲさん95歳。毎週木曜日の体操教室以外にも書道教室・畑作業・ゲートボールと、何でもこなすスーパーおばあちゃんだ。「こんな元気な95歳見たことない。屋仁には欠かせない存在よ」。集落住民みんなが尊敬している。

 同町手花部出身の築地さんは1927年(昭和2年)1月31日生まれ。27歳のとき中学校教諭だった夫と結婚。5人の子どもと14人の孫の子宝に恵まれた。戦時中は志願して女子挺身隊の任務にも就いていた。

 この日は週1回の「屋仁ころばん体操教室」。朝野平三さん(69)の倉庫を建て替えた『ゆりどろ“わたしの家”』に築地さんをはじめ、10人の元気な高齢者が集まった。同体操教室は、奄美市の推進する「高齢者元気度アップ地域包括ケア推進事業」の一環。朝野さんの呼びかけで2020年から始まった。

 手や足の筋肉をほぐす柔軟体操に、築地さんは40分ほど汗を流した。「ここは週1回だけど、毎朝30分かけてリハビリ体操しているよ。そのあと晴れた日はいつも畑で野菜作り」と笑い、それが健康の秘訣という。

 畑ではレタス・オクラ・ニンジン・ホウレンソウなど季節ごとの野菜を栽培。また隣にすむ手島正博さん(59)の釣った魚を、見事な手際でさばくことも。一緒に柔軟体操をした諏訪一男さん(85)は「畑仕事のあとのゲートボールは、わんより上手。積極的に集落の集まりに参加するシゲさんは地域の誇り」と築地さんを称えた。

 体操の後はみんなでお茶を飲みながら語らう。「このお茶会も元気の源かも」と顔をしわくちゃにして笑顔を見せた。激動の昭和の時代を生き、平成・令和と元気に過ごす築地さんのしわには、たくさんの歴史が刻まれていた。