「世界自然遺産プラットフォーム」

初会合でメンバー一人ひとりに委嘱状が渡された

登録効果地域へ還元
市民参加型初会合 多様なテーマ議論

 世界自然遺産の登録効果を最大化することを目的とした奄美市の公民連携組織「世界自然遺産プラットフォーム」の第1回会合が29日、市役所の会議室であった。中核メンバーとして安田壮平市長から委嘱された14人による初会合。市民参加型の機動的政策の実現を目指し、基盤となる多様なテーマを議論した。

 メンバーは環境、文化、芸能、産業など各分野から推薦・指名された有識者と、公募で選ばれた市民による計14人で構成。任期は1年で再任を妨げない。会議は年6回開催予定で、事務局は世界自然遺産課に置く。

 公民連携の場(プラットフォーム)で、多様な主体の議論・協議を行い、得られた成果を地域へ最大限還元することが目的。それにより持続可能な自然共生社会の実現を目指す。

 初会合にあたり安田市長は、「登録からが新たなスタート。世界自然遺産の課題に取り組む努力や、目標へのプロセスこそが価値がある。このプラットフォームで新しい何かが生み出されることを期待する」とメンバーに呼び掛けた。

 座長に選任された須山聡さん(駒沢大学教授・奄美観光大使)の進行で議事を協議。メンバーはそれぞれのテーマで課題を出し合った。▽観光=①持続可能な観光推進のための宿泊税(協力金)導入の検討②エコツアーの分散化を図るために新コースの開発(タンギョの滝・住用町)の提案▽文化=①シマ唄・八月踊りなどに見るアマチュアリズムの継承②島に特化した食文化の探究と発信▽自然環境=①生態形を壊す外来種(ヒカンザクラやハイビスカスなど)への危機感②ノネコ・ノヤギ・ロードキル問題―その他にも人材育成や産業構築など、様々な問題や課題を共有した。

 また「奄美が何に向かうのか方向性を統一してはどうか」「テーマの多様性や立場の違いで整合性がとれない」という意見が出た一方、「様々な議論の上で方向性が見つかる」など、話し合いは会合の在り方にも及んだ。

 座長の須山さんは「いろんな意見が出た充実した会合だった。今後もメンバーの専門知識を発揮し、実りある会合になれば」と振り返った

 次回は7月16日、▽タンギョの滝などエコツアー新コース開発について▽奄美の文化の在り方について―などを協議予定。人数を制限のうえ市民にも公開される。