奄美市が「電子契約」開始

奄美市は1日から、紙の書類に押印する書面契約に代わり、電子文書や電子署名で契約を結ぶ「電子契約」の本格運用を開始する。県内自治体での正式導入は初めてで、システムでは安全性と利便性を兼ね備えた全国初の「ハイブリッド署名」方式を採用。コスト減や時間削減に伴う業務の効率化などが期待できる。

電子契約サービス大手のGMOグローバルサイン・ホールディングス(株)(青山満代表取締役社長、東京都)のシステム「電子印鑑GMOサインfor行革DX」を使い、市が締結する物品購入や業務委託、工事契約など、ほとんどの契約を電子契約で行えるようになる。電子契約では、市が書類をサーバー(クラウド)に上げ、事業者へメールで認証情報を送信。クラウド上で電子文書(PDF)に署名することで、負担なく契約を完了できるようになる。

市は昨年4月から同社と実証実験を開始し、検証を進めてきた。紙の契約書を使う従来のやり方では、文面の確認や印刷、押印、郵送などで1週間ほどかかっていたが実証実験では最短1~2分で手続きを完了。試算によると、印刷や封筒、郵送費など年間250万円相当のコスト削減効果が見込めるという。

また同市のシステムでは、法的な本人性の担保などに優れた「当事者型」と、契約相手の負担が少ない「立会人型」の両方を併せた「ハイブリッド署名」方式を採用。同技術による取り組みは他の自治体でも例がなく、全国でも初めてになるという。

自治体での民間の電子署名の利用は、1月に国が地方自治法の施行規則を改正したことで可能になった。希望する事業者へは紙での契約も行う。同市総務部契約・検査指導課の担当者は「電子契約では収入印紙も必要ない。今後の積極的な活用へ努めていきたい」と話している。