奄美と沖縄の魅力、踊りで発信

オープニングを飾った黒留め袖の「長朝花節」に会場が沸いた

勇壮な木遣り歌「国頭サバクイ」(写真提供=藤井翔さん)

「~月と語らい太陽(ティダ)と遊ぶ~」
伊是名の会32回定期公演
黒留め袖で長朝花を舞う

 【東京】伊是名の会(原口このみ主宰)は28日、練馬文化センター大ホールで32回定期公演「~月と語らい太陽(ティダ)と遊ぶ~」を開催、世界自然遺産で注目される奄美を月に、本土復帰50周年の沖縄を太陽にたとえた。詰めかけたファンの前で奄美と沖縄の音楽に乗せ舞を披露、観客らに「ふるさと」を届けた。満員の観客らは曲に合わせ手拍子を送りステージを盛り上げ、温かい時間が流れた。

 第1部は「奄美」、武下和平さんの歌声が流れ、黒留め袖に身を包んだ17人が長朝花節を舞い、荘厳なムードで幕が開いた。ゲストには里アンナさんが登場、生歌でシマ唄を披露し、澄み渡る歌声で会場を包みこんだ。

 坪山豊さん、築地俊造さんらの代表曲も盛り込まれ「あやはぶら節」「ワイド節」「ホーネン節」としっとりとした歌からにぎやかな歌と緩急織り交ぜた演目で、観客を楽しませた。

 第2部は「沖縄」、昨年披露した琉球王朝時代から戦後の庶民の生活を取り入れた雑踊りまでの琉球舞踊の変遷をレビュー形式にして。「心を元気にする演目」にと、琉球王朝時代の華やかな装束で登場する舞からスタート、沖縄ポップスなども取り入れ、軽快に表現した。

 最年少の3歳の緑川えまさんは2回目のステージに挑戦。元気に踊る子どもたちの姿に会場から惜しみない拍手が送られた。

 会場も巻き込んでおどるカチャーシは、席に着いたままで。来場者らも腕を上げて踊り、楽しいひとときを過ごした。

 広島から上京した川原正行さん(64)は「長朝花の演出にはあっと驚かされた。里アンナさんのよいすら節には会場がシーンとなって、その瞬間、奄美に吸い込まれた感じがした」と話し、吉田和典さん(67)は「歌詞をくんだ振り付けに魅了され、あっという間の2時間だった。首里城建立のための木遣り歌がもとになっている『国頭(くんじゃん)サバクイ』なども驚きの演出で印象的だった」。

 会場にはフラメンコダンサーの永田健さんも訪れており、「東京の団体として大がかりな公演をやっているのに驚いた。群舞のきれいな構成、フォーメーションが素晴らしかった。三味線の音色に懐かしさを感じ、独特の文化、心のよりどころを持っているのがうらやましい」と話した。