県議会代表質問

今秋報告書を決定 世界遺産委、4要請事項対応
直近のクラスター確認 部活動起因が最多

 6月定例県議会は7日、代表質問があり、自民党の白石誠議員=薩摩郡区=、県民連合の遠嶋春日児議員=薩摩川内市区=が登壇。世界自然遺産登録にあたりユネスコ世界遺産委員会から四つの要請事項が示されたが、現在方策の検討が進められており、今秋の地域連絡会議で報告書が決定するとの見通しが説明された。新型コロナウイルス感染症対策で、県内では4月以降6月1日時点で52件のクラスター(感染者集団)を確認、このうち部活動に起因するものが最多となっている。

 房村正博・くらし保健福祉部長の答弁によると、52件の内訳は部活動10件、医療機関9件、高齢者施設8件、学校7件、障がい者施設5件など。クラスター発生の主な要因は感染力が強いオミクロン株が主流となっていることに加え、マスク着用、手指消毒、換気、三密を避けるなど基本的な感染防止対策が十分でなかったことが挙がった。

 オミクロン株の流行により高齢者施設では医療支援の強化が課題となっている。これを踏まえ施設内でコロナ陽性者が確認された場合、医師や看護師による往診、派遣を要請できる医療機関を事前に確保することが求められており、県では国からの調査依頼を受けて県内全対象施設1293施設を調査。5月24日時点で全施設の87%にあたる1127施設で確保できており、残り13%は確保できていないことが確認された。

 房村部長は「高齢者施設においてのクラスター発生を未然に防ぐためのチェックリストの配布や、感染者が発生した場合に感染拡大を防止するため疫学調査やゾーニングなど感染制御に関する助言指導を行う感染症専門家の派遣、看護体制の確認調査にあたる認定看護管理者、疲労しているスタッフ等のメンタルケアにあたる精神科認定看護師を派遣する体制を整備している」と述べた。

 奄美世界自然遺産登録にかかわる課題と取り組みについては谷口浩一環境林務部長が答弁。世界遺産委が決議した四つの要請事項への対応は国、鹿児島県、沖縄県、地元市町村で構成する世界自然遺産地域連絡会議で緊密な連携を図るとともに、科学委員会の助言を得ながら要請ごとに設置してある要請事項対応タスクフォースで方策の検討が行われている。

 検討内容は、観光管理=奄美群島持続的観光マスタープランに基づく取り組み状況整理▽希少種ロードキル対応=ロードキルの発生状況や対策の実施状況を踏まえ今後の取り組み方針を検討▽河川再生=新たに包括的河川再生戦略を策定すべく内容を検討▽森林管理=緩衝地帯において森林伐採の方向性や環境に配慮した種苗方法の検討整理―などが進められている。

 谷口部長は「5月の地域連絡会議で進ちょく状況を報告しており今後、タスクフォースでさらに検討の上、報告書案を取りまとめ、今秋の地域連絡会議において報告書を決定する」と述べた。

 ロードキル対策の進ちょくと今後の対応については、今年度の奄美世界自然遺産保全活用推進事業での取り組みが説明された。アマミノクロウサギのロードキルが多発している路線において試験的に道路への侵入防止柵を設置し、あわせて監視カメラ等を用いて設置の効果を検討。この結果を踏まえて国、市町村との連携により効果的なロードキル対策を進めていく。

 エコツアーガイドの育成・確保状況に関する答弁もあった。増加が見込まれる観光客に対応するためにも認定ガイドの新規養成が課題となっており、今年4月1日現在昨年より14人増の147人が認定されているとした。