奄美の農業を通し、その現状と課題を学んだ(9日、大島北高校体育館)
奄美市笠利町の大島北高校(松本勇二校長)で8日、1年生を対象とした総合的な探求の時間「アマンDay」が8日、同校体育館であった。いずみ農園の泉祐次郎代表(55)による「奄美の農業の現状と未来~農業ってなんだろう~」と題する特別授業「奄美学講座」に、生徒46人が参加。奄美の農業の実状や展望、課題を伝え、次世代を担う生徒たちに、その未来を託す内容となった。
「アマンDay」は、生徒自らが地域課題を取り上げ、活動・解決に向けて取り組む、同行独自の探求学習時間。1年生が「学び」、2年生が「探究活動」、3年生がその「発表」と、段階的に取り組む、奄美に関する研究活動となっている。
「いずみ農園」は、同町で果樹栽培を中心に2006年に開園、11年には龍郷町にジェラートの直営店「ラ フォンテ」を開店。13年には、農林水産大臣による総合化事業計画(6次産業化)の認定を受けた。
講座では、奄美の農業の明るい材料として、昨年7月の世界自然遺産登録で、奄美への知名度が上がることなどを報告。しかし、不安材料として地球の温暖化、デフレとコロナ禍による経済の萎縮、少子高齢化などを挙げる他、ウクライナ戦争に資材の高騰など、世界が取り巻く現状に言及。改めて農業(アグリカルチャー)とは、「私たちの生命にとって食料を安定供給するための重要な産業」であり「地域にとって文化・環境を維持する重要な営み」にあることを、生徒たち伝えた。
講座の最後に泉代表は「必ずしも皆さんが農家になる必要はない。食べ物のことを考えるだけで、農業の衰退は避けられるはず」とし締めた。
祖父が、家族のためにマンゴーづくりをしているという川上広斗さん(15)は「奄美の農業について深く知ることができ、学びになった」と話した。